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高級スプーンの部屋


[71] 帰らぬ器
詩人:高級スプーン [投票][編集]

ふと我に返ると、

彼女が割れていた。

理解不能の展開に
俺の神経は
鈍い音を立てて切れた

誰がやったんだ?

俺がやったんだ!

バラバラになって
無残な姿を晒す
彼女を見て
俺の目は燃えた

拒んだ手を
放さないから言った

「俺は独りだ」

自己完結と自己満足が
溜まって積もって
その重みに
耐え切れず
粉々に割れた彼女

取り返しのつかない
不測の事態に
混乱する俺は
床に散らばった
彼女の破片を拾い集めた
握りしめたら
俺の手は燃えた

ふと我に返ると、

彼女は消えていた。

「俺は独りだ」

2004/12/09 (Thu)

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