詩人:重夏 | [投票][編集] |
薄い蒼の闇に咲く淡く白い月
小さく輝きを放つ星の欠片たち
光が闇に消えゆく様を
闇が光に溶けゆく様を
初めて眼にした その春夜
春風が優しく君を撫ぜ
柔らかな色を放ちながら
君は降る
ひと時の切なさが私を包み込み
酔い痴れた 美しきその姿に
酔い痴れた 息を呑み 君の最期に
ギシリと軋むベンチに腰を掛け
見つめた先に浮かび上がるは
霞がかった桜色 つまりは君のこと
”私をわすれないで・・・”と
聞こえた気がした
いや あの時 確かに受け取ったよ
君の声
触れ合う空気が
ひどく甘く薫っていた
ある春の夜の情景
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”今”を開く鍵は
この手元にあって
”未来”を開く鍵は
これから手に入れて
ゆくのだろうけれど
”過去”を開く鍵だけは
何処を探しても
見つからないのでしょうね
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今日は風が
少し優しくて
私に纏わりつく
空気も穏やかで
道端の小さな花に”恋”をした
家路までの道程の
すべての景色に”恋”をした
いつの日からか
置き去りにして
しまっていた この感覚
私を撫ぜる風さえも
愛しいと想えていた
その感情
いつの間にか
麻痺してしまっていたんだね
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いつの間にか 私は
私自身の道を
見失ってしまっていた
目印に落としてきたパンくずは
乾ききって風に連れ去られてしまい
道行に張り巡らしてきたロープは
古くなり擦り切れてしまっていた
後戻りする術さえ
もう 私は持たない
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決して
あなたになりたいだなんて
言わないし
言えないよ
そんなこと
だけど もし
出来ることなら
あなたの目線から
あなたが見ている高さから
世界を見渡してみたいんだ
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丸くなくても
少し欠けていても
歪な形でも
綺麗な色じゃなくても
輝きを放っていなくても
壊れかけた
オルゴールのような
音色でも
いいんだ
何だっていい
だって すべて君だもの