詩人:麗華塵 | [投票][編集] |
あぁ…燃える空に少年は何を見る…
戦火の中 母は死に父も死んだ
そしてあの頃の自分は死んだ
構える剣に復讐を誓い
少年は大人になった
父から受け継いだ剣は名のある聖剣
人々の幸せと希望を背負い生まれてきた
あぁ…運命よ…
何故に私の運命は呪われている…
幸せを背負う剣は幾多の敵を殺してきた
希望を背負う剣は幾多の命を奪ってきた…
復讐の先に何があるのか…
自分に問いながら男は今日も戦場に赴く
聖剣を翳し今日も血を流す
復讐の名の元に…
「あぁ…燃える空よ…私は何を胸に戦えばいい?」
男の心に日に日に増す疑心の心
空を見上げた男の胸に敵の剣が突き刺さる…
復讐の果てに何を見る…
男は倒れる…
復讐の名の元に…
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あぁ…燃える空よ…
今日も私の空に聳えるのか…
男は目を覚ます
手当てを受けた胸の傷
痛むのは傷だけだろうか
ベッドにもたれ掛かり寝ている娘
娘の服には敵軍の紋章
「神よ…許したまえ…」
聖剣をとり娘の首に当てる男
目覚める娘
「貴方の剣は泣いている…」
幸せを背負い生まれた剣
本当に背負ったのは何
希望を背負い生まれた剣
本当に背負ったのは何
貴方は泣いてるように剣を振るう
戦場でも…今でさえ…
復讐の名の元に…
間違いに気付きながらも剣を振るわなければ自分が無くなるような気がした
間違いに気付きながらも剣を振るわなければ死んでいった者達が無くなるような気がした
間違いに気付きながらも剣を振るわなければ生きる意味が無くなるような気がした…
あぁ…娘の瞳が男の瞳を見つめる…
泣き崩れる男
聖剣は取り返しのつかないほど血に染まってしまった…これから私は何を償えばいい?
血を拭いなさい…それは辛く悲しい道のり…血を拭いなさい…その間、貴方の涙は私が拭ってあげますから…
敵軍の娘に恋をした男
復讐の道のり
奪い続けた命の代償に何を捧げる…
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あぁ…燃える空よ…
今日も私の上に聳えるのか…
男は生き残りとされ敵軍に追われた
男は敵軍の娘に寝返ったとされ自軍に追われた
娘もまた敵の兵士を助けたと両軍から追われた
あぁ神よ…
こんな純粋な娘まで戦火の中で泣いている…
なぜ人は争い続けるのか…
山道を走る男と娘
追い迫る軍隊
娘の足を弓が霞む
倒れる娘
その娘に無数の矢が襲いかかる
身を呈して娘を守る男
無数の矢が男に突き刺さる
「先に逃げなさい…」
「ダメよ!!貴方をおいていけやしない」
男は聖剣を差し出す
この剣は人々の幸せと希望を背負い生まれてきた…
しかし、この剣はもう血で汚れすぎてしまった…
私の幸せと希望を背負う聖剣…それは貴女だ…
貴女が生きているかぎり私はまた立ち上がる
この世界と戦える
さぁ行きなさい
さぁ生きなさい!!
燃える空が二人を包む
娘は男と口づけを交わす
「約束して下さい。最後の時まで…………………………下さい。」
娘は走り去る
男は少し笑い
自軍の兵に捕らわれた…
あぁ…燃える空よ!!
この戦火はいつまで続くか…
虚しき言葉は…誰の耳に届くことなく
風に流れた…
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あぁ…燃える空よ…
今日も私の上に聳えるのか…
一度は英雄と崇められた…
だが今は違う…
一度は救世主と称えられた…
今は違う…
懐かしい国民達は私を避けずむ瞳で見つめる
あぁ…私は罪を犯したのだろうか…
戦火の壁を超え一人の娘に恋をした…
それは罪だったのだろうか…
鉄の枷は冷たく重い…
私の心を押し潰さんとする…
父の形見の聖剣もどこにいったかわからない
もう聖剣は必要ない…
私はもう血を流さない
流させない
処刑の日まで彼女との約束を果たそう…
目の前に現れたのは国の王
聖剣を差し出し男に問う
古き英雄よ
剣を取れ
敵軍を葬り去り
幸せを掴むのだ
古き救世主よ
腕を挙げろ
敵軍を狩り尽くし
希望を掴むのだ
「希望…幸せ…あぁやはり戦いこそが平和の道のりなのか…」
剣を取ろうとした刹那
血に濡れた聖剣は男に囁く…
貴方の聖剣は私ではないはず…
貴方の守るものは何?
男は手を引く
あぁ…燃える空よ…
必ずお前打ち砕いてみせる
私の中にあるたった一つの聖剣で…
処刑の日が迫る
男は最後の日まで牢の中で戦争の愚かさを語り続けた…
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十字架に掲げられる男
燃える空が嘲笑うかのよう一面に広がる
私は戦っだろうか?
私は生きただろうか?
色々な想いが男の中を交差する…
火をもった兵士が近づいてくる
最後に浮かぶ彼女の笑顔
あぁ…すまない…本当にすまない…
私が死んでも貴女は戦い続けて下さい
聖剣なんて必要ない
人は誰も心に剣を持っている
自分だけの「想い」と云う名の剣を…
その剣が折れぬ限り人は戦い続けられる
足の元に炎が舞い上がる
男は叫んだ
愛しき人の名を…
何度も…何度も…
人混みの中返答する声
処刑台へ走りゆく娘
あぁ…敵軍の中、まさか何故いるのだ…
十字架の前
男の名を叫ぶ娘
王も兵士も国民も…
娘の姿に心を奪われる
誰が敵軍の中に一人でこれようか…
まして、自分から出てこれようか…
何故…何故…
国民の一人が涙を流す
二人…三人…
あぁ…戦火の炎は何を燃やす?
王は己に問う
私は一体何を燃やしたのだ…
「闘い続けなさい…
たった一つの聖剣で
闘い続けなさい…
それぞれの思いを胸に…あぁ燃える空よ…
いつか必ず
皆の聖剣がお前を砕くであろう…」
男は死んだ
娘も処刑の後
消えるようにいなくなった…
燃える空は今日も聳え立つ…
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狭い世界
それは水槽
僕等は魚
色とりどりの魚
同じ色は無い
ただ浮かぶ魚
群れている魚
懸命に泳ぐ魚
岩場で休む魚
同じ魚は無い
有限の水槽の中
懸命に生きてゆく
僕もまた一匹の魚
君もまた一匹の魚
生きてゆく
有限と知りながら
その中で一番輝く為に…
小さな命を震わしながら…
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好きでもないプール
苦手な運動
みんなに笑われる
僕はダメ部員
ただプールに浮かんで
眩しい君の水着姿
呼吸が出来なくなるほどに
見つめていた
下手くそな泳ぎ
みんなが笑った
君も笑った
それで僕は満足だった
君の笑顔が眩しくて
苦手な勉強
大嫌いな数学
ただ君に良いところ見せたくて
ガムシャラに頑張った
勉強するのも
運動するのも
あの頃は全て君のため…
君の手
君の感触
君の笑顔
君の髪型
君の姿
君の背中
君の仕草
君の声
君の温もり
君の優しさ
君の全てが
僕の中で今も溢れいる
ただキラキラと輝く君との思い出
決して忘れないように
あの頃の僕は
ただ君を笑わせるだけだった
恥ずかしくて話すきっかけなんかなかった
笑う君を見ることがあの頃の僕の全てだった
プールサイドの君があの頃の僕の全てだった
今も君を思い出す
今頃何をしてるんだろう…
卒業式の日
君と抱き合っていたあいつと
幸せになっているのかなぁ…
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数々の星たちが
何も知らずに祝福の讃美歌を唄う
彼女のただ僕を信じる目が痛くて…
君を抱きしめられるのは…今日が最後なのに…
本当にごめんね
償えないほどの君の思い
「さよなら」の言葉の重み
決して愛が冷めたわけじゃない…
別れ道で抱きしめる君の体は
こんなにも小さく華奢なんだね…
一生一緒と思った
上を見上げると電線の間から星が唄う
降り出す雨が言葉を遮る
かすかな単語で泣き出す君を
どれだけ愛おしいと思ったことか…
でももう決めたんだ…
君のことを想うのも今日で最後
季節外れの雨…
別れ道の上
一人になった僕の上に降り注ぐ…
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桜の花が雪に見えて
悲しくて悲しくて…
去年のクリスマス
貴方の為のプレゼント
今も見る度
涙が止まりません
カレンダーも四枚破って
諦めたつもりになっていた
リボンをかけた
箱の中に
あの頃の夢が詰まっているのかな?
去年のクリスマスが終わらない
四月になった今でも
苦しいぐらい雪が降り
心に悲しみばかりを積もらせる
去年のクリスマスが終わらない
記憶になったはずの今でも
苦しいぐらい生々しく
心に後悔ばかりを積もらせる…
お互いのプレゼントを買った日の夜
笑いながら駆け出す君を
何故引き止めなかったんだろう…
明るい街灯の下
何時間も君を待った
来るはずもない君を
プレゼントを握りしめ
来るはずもない君を
ずっと…ずっと…
あの日笑って駆け出す君を
何故引き止めなかったんだろう…
忘れられない鈍い音
白い雪が赤くそまり
笑って駆け出した君が…
去年のクリスマスが終わらない
四月になった今でも
苦しいぐらい雪が降り
心に悲しみばかりを積もらせる
去年のクリスマスが終わらない
記憶になったはずの今でも
苦しいぐらい生々しく
心に後悔ばかりを積もらせる…
桜の花が雪に見えて
悲しくて悲しくて…
去年のクリスマス
貴方の為のプレゼント
今も見る度
涙が止まりません
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いつまでも
飛ぶ鳥は落ちないし
空はどこまでも続いていた
剥落とした人生に憤りを感じつつ
何気ない幸せに肩を寄せ
これでもいいんじゃないか、と嘘を付き
自分を誤魔化すことが上手くなった
最近笑わなくなった君にも馴れてしまい
特に不自由もなく
繰り返しの日々で満足していた夏の夜
ふと君の背中を見る
こんなに細かっただろうか?
弱々しい背中には萎んだ羽が生えていて
今でも飛び立ちたいと僕に語る
モノは確実に無くなってゆく
幸せだって、不幸せだって
見えない所で鳥は落ち
まだ見ぬ時代に空は亡くなるかもしれない
終わりはあるんだ
だから尊い
今日は君を抱きしめて眠ろう
照れくさそうに…
久しぶりに笑ったね
視野を超えて
終わりの一部を感じた僕
明日は今日より素敵になりそう