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麗華塵の部屋


[29] 聖剣物語組曲 其ノ四 「想い」
詩人:麗華塵 [投票][編集]

あぁ…燃える空よ…
今日も私の上に聳えるのか…

一度は英雄と崇められた…
だが今は違う…
一度は救世主と称えられた…
今は違う…
懐かしい国民達は私を避けずむ瞳で見つめる
あぁ…私は罪を犯したのだろうか…
戦火の壁を超え一人の娘に恋をした…
それは罪だったのだろうか…
鉄の枷は冷たく重い…
私の心を押し潰さんとする…
父の形見の聖剣もどこにいったかわからない

もう聖剣は必要ない…
私はもう血を流さない
流させない
処刑の日まで彼女との約束を果たそう…

目の前に現れたのは国の王
聖剣を差し出し男に問う
古き英雄よ
剣を取れ
敵軍を葬り去り
幸せを掴むのだ

古き救世主よ
腕を挙げろ
敵軍を狩り尽くし
希望を掴むのだ

「希望…幸せ…あぁやはり戦いこそが平和の道のりなのか…」
剣を取ろうとした刹那
血に濡れた聖剣は男に囁く…

貴方の聖剣は私ではないはず…
貴方の守るものは何?

男は手を引く

あぁ…燃える空よ…
必ずお前打ち砕いてみせる
私の中にあるたった一つの聖剣で…

処刑の日が迫る
男は最後の日まで牢の中で戦争の愚かさを語り続けた…

2005/01/04 (Tue)

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