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SANDAY
今日はSANDAY
7歳
人なら44歳
そう
愛犬の誕生日
いつも一人で迎える
蝋燭の灯らない
寂しい誕生日
知らない
無関心
関係ない
動物の誕生日
冷たい人間たち
彼らも生きているのに
老いたら人と同じ邪魔者扱い
話せない
弱い生き物だから
抱きしめて
生きている限り
守ってやりたい。
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琵琶湖
近畿の水瓶
琵琶湖
この図体の大きな湖が
いま
病んでいる
水流は止まり
酸素が湖底まで届かないため
湖底は汚濁されて
糸蚯蚓のみが生きている
温暖化のため
山に降る雪は少なく
僅かな雪融け水も
人工の堤で堰きとめられ
水は細く
川は干しあがり
雑草が茂る
精気のない川の流れ
進む水の汚染
湖の肥満
湖底にアオコが茂り
水が死を迎えている。
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にわか雨
ある地方では
狐の嫁入り
初冬に始まる
気まぐれの空模様
時雨
泣きそうで泣かない
強がり
それが
つい
何かの拍子で
ワァーと泣いて
その泣きも
暫らくすると
泣き止む
どうしようもない気まぐれ
もう
そんな冬を思わせる
空模様。
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カフェで・・・
いつものカフェで
向き合って
熱いカフェオレを口に運ぶ
いつも
お喋りは同時
あの時のこと
あの想い出を話していく
時には熱くなり
情熱をカップにつぐように注いで
夢中になった日暮れ時
横で話す人も
ウインド越しに通り過ぎる人も
瞳には映らない
あなたの
灯りのような瞳
カップを持つ細い指
微笑みの唇に
時を忘れている。
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染め
紅葉
それは反物の染織
染め
微妙で繊細な染めの技法
加賀友禅
染められて
一枚の反物に仕上がる
それは
秋仕立ての
鮮やかな染め上がり
春夏と下絵を書いて
温めた素案を
時をかけ
画に描いて染め上げる
初冬
木枯らしの川の流れに晒し
時雨で染めて
多彩に仕上げる一枚
華麗な筆使いで描かれた秋模様
繊細な染め
綺麗な染め模様
この色
この染めは
人には作りえない
匠の技。
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伏見の酒
古から作られた
日本の酒
今では機械化され
余り人の手を使わない酒作りになって
米と同じ
飲まれなくなった
日本酒
冬
京都の伏見に
酒の季節が来て
軟らかい水と新米を使い
匠の技で
杜氏が
美味い酒を仕込む
酒
受けない
飲まれない
親父の日本酒
一升瓶と椀で酌み交わし
語られる事のない
古の酒。
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落ち葉
いま
落ち葉が散らばる
それは
朽ちた残像
涙の痕
落ち葉の一枚を手に取って見ると
死に顔が綺麗
散り始めの
美しい色彩の名残の残像が残っている
掻き集め
両手で抱きしめる
温かい
生きている森の温もり
私の冷えた身体を
優しい温かさで
包み込んでくれる。
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老いた母・・・
老いた母を見ていると
汚いものを見るように母を見てしまう
老いた人に出会うと
つい
母と交差させてしまう
老いて寂しいだろうから
帰って
話し相手になって
いろいろ聴いてあげよう
そう思うけど
行動が伴わない
忘れた頃に行くと
暗い
寒い部屋のなかで
ぽつんと一人
ぶつぶつ言いながら
座っている
母が待つのは
息子の私なのか
考えると自己嫌悪に陥る
老いた母の家には
誰も寄りつかず
荒れている
日頃は
出来た息子と言われたが
いまの私には
何も出来ない
やはり
私も他の人と変らない
最低のひとりかも知れない。
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15分の旅・・・
私のいつもの
15分の旅が
ここ丹波橋の駅からはじまる
丹波から四条まで
昼寝旅に丁度いい時間
電車が動き出す時に
ぐらぐらゆれて
ゴートンゴートンと動きだして
横にゆれ
縦にゆれ
いい感じの導入剤
深く
一時の間
幸せにひたれるいい時間
動いたかな・・・
もう次の駅だ
無粋な車内放送と発車ベルがなければ
夢の中にいれるのに
3分後には
目覚ましの声が待っている。
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眠り
いま
深い眠りが
悩む心を
深海の底に沈めてくれる
この沈下
眠りこそ
悩みからの逃避行
苦悩と挫折
癒されない心
全てを
忘れるために
眠りの中に閉じ込めて
一夜の時間を使って仕舞い込む
一期の安らぎ
すべての癒し
束縛されないで得る事が出来る
唯一の時間
それは
買う事ができない
癒しの眠り。