詩人:四季の旅人(畦道) | [投票][編集] |
ハス
私はハス
この湖の住人
仲間が住んでいる有名な所では琵琶湖
でも彼らとは姓が違う
従兄弟かな
いま住んでいる所は有名だよ
でも空き家が多くて
仲間は
もう住んでいない
いま
住んでいるのは私だけ
最後の住人
老いた体を
湖底深く沈めていくところ
もう泳ぐことも
美しい姿をみせて
川を遡上する事もない
廃村の誕生
私の仲間が住まない湖と川に
未練はないし
既に私は
墓石の湖に刻まれた
滅亡者だから。
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空は
深い悲しみの灰色
重く低く垂れ込めた雲から
降り続く雨は
怒り
号泣
別れの涙
でもこれがないと
生きていけない命の水
汚れ
汚染
人が汚している
水
澄んで見えるのは表面だけで
人の心に似ている
汚された雨が
悲しみに嘆いている
破壊
氾濫
森の樹を切るために
道を伸ばし
沢を埋め
流れを止められ
森に降る雨が
行き場を失って怒り狂いながら
土石流となって
破壊しながら
海を求めて下る。
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蒲公英
私は蒲公英
野辺の花
色も綺麗だし鮮やか
暖かい幸せ色で
あなたの心の中を
レモンイエローでいっぱいにしてあげるのに
話かけても
見てもくれない
街のなかで
一番先に
春を知らせているのに
誰も無関心
小さくて愛くるしい
可愛い花なのに
誰も
手に取り飾ってくれない
一輪に挿して
見つめてごらん
優しいレモンイエローで
部屋の中
いっぱいになるから。
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水仙
時雨空
霙降るなかで
いま
一株の水仙が
白無垢の花をつけている
花びらは羽二重のように美しく
清楚で質素
花から匂う
擽る香り
恋する女の香り
花のなかを歩けば
何時の間にか
水仙の群落に
抱きしめられている
私がいる。
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時間
人間は不思議である
いや!
私だけかも知れない
愛しあい
心を交えても
暫らく遭わないでいると
忘れてくるこの感覚
なぜ?
こうなるの
いつも時間の空白を考えるけど
分からない
答えがでない
互いに交わした言葉が
毎日から週一になっても
寂しい
遭いたい
その感情が湧いてこない
この違い
男と女の温度差
価値観の違い。