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涙
人を襲う
深い哀しみ
一粒の涙
叫び
怒り
悔しさ
悲劇
挫折
別れ
人があじ遭う
言い表せない嘆き
一粒の涙
流れる
涙
生きている
私の前から崩れていくひとつの形
崩壊
消滅
声となり
怒りとなり
涙がこぼれる
何も
この涙
人だけのものではない
話せない
表現出来ない
そのひと達の涙こそ
一番哀しい
涙である事を
人は知るべきだ。
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泡雪
誰も歩かない
時間と灯りが止まった深夜
星のない空から
白い一片の塊が
手のひらから
こぼれるように
落ちて
降ってくる
二人の頬にふれると
冷め切らない温もりで
声を上げる間もなく融けてしまう
降り始めの泡雪
哀しい出会い
いつもなら
木枯らしの後に訪れて
初雪が舞うのに
季節遅れの
挨拶なのか
積もることなく融けてしまう
泡雪の一片。
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待ち合わせ(デート)
たった一週間
会わなかっただけなのに
二度目の待ち合わせ
駅のコンコースにひとり立っている
あなたを見つけた時
あなたが
とても素敵に見えた
思わず駆け寄って
やあ!
元気
思わずそう言ってしまった
待った
遅れてごめん
その一言が言えなくて
濁した一言
私無粋なのかな
待っているあなた
とても素敵
どうして素直に
そう言えないのだろう
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心を忘れた人に
街は楽しくて快適というから
住んでみたけど
いまの私には
この街はにあわない
生きるために住んでいるけれど
いつも心は覚めている
塗り固められた道
快適な住まい
快楽から地獄まで揃い
満たされているが
土の温もりも草の匂いも感じられない
街行く人は心の中を通り過ぎ
いつも私だけが
廃墟の中に取り残されて
街をさ迷っている
故郷に温もりが存在すると思わないけれど
癒しの淹れたてコーヒーが飲める
古いカフェの椅子が私の指定席
その古里に椅子がある限り
私は訪れて
椅子に座って
いつものコーヒーを口に含み
時を忘れて
古里を味わいたい。
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灰色
雨色
哀しい色
心は沈み
消えない灰色に
溜息ついて
空を見る
灰色
落ち着き
薄明かり
灯のなかで
求め合う
忍び愛
目覚め
蔽い被さる
重くて暗い灰色
去れ
退け
消えろ
そう叫びたくなる。
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眠り
いま
深い眠りが
悩む心を
深海の底に沈めてくれる
この沈下
眠りこそ
悩みからの逃避行
苦悩と挫折
癒されない心
全てを
忘れるために
眠りの中に閉じ込めて
一夜の時間を使って仕舞い込む
一期の安らぎ
すべての癒し
束縛されないで得る事が出来る
唯一の時間
それは
買う事ができない
癒しの眠り。
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15分の旅・・・
私のいつもの
15分の旅が
ここ丹波橋の駅からはじまる
丹波から四条まで
昼寝旅に丁度いい時間
電車が動き出す時に
ぐらぐらゆれて
ゴートンゴートンと動きだして
横にゆれ
縦にゆれ
いい感じの導入剤
深く
一時の間
幸せにひたれるいい時間
動いたかな・・・
もう次の駅だ
無粋な車内放送と発車ベルがなければ
夢の中にいれるのに
3分後には
目覚ましの声が待っている。
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老いた母・・・
老いた母を見ていると
汚いものを見るように母を見てしまう
老いた人に出会うと
つい
母と交差させてしまう
老いて寂しいだろうから
帰って
話し相手になって
いろいろ聴いてあげよう
そう思うけど
行動が伴わない
忘れた頃に行くと
暗い
寒い部屋のなかで
ぽつんと一人
ぶつぶつ言いながら
座っている
母が待つのは
息子の私なのか
考えると自己嫌悪に陥る
老いた母の家には
誰も寄りつかず
荒れている
日頃は
出来た息子と言われたが
いまの私には
何も出来ない
やはり
私も他の人と変らない
最低のひとりかも知れない。
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落ち葉
いま
落ち葉が散らばる
それは
朽ちた残像
涙の痕
落ち葉の一枚を手に取って見ると
死に顔が綺麗
散り始めの
美しい色彩の名残の残像が残っている
掻き集め
両手で抱きしめる
温かい
生きている森の温もり
私の冷えた身体を
優しい温かさで
包み込んでくれる。
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伏見の酒
古から作られた
日本の酒
今では機械化され
余り人の手を使わない酒作りになって
米と同じ
飲まれなくなった
日本酒
冬
京都の伏見に
酒の季節が来て
軟らかい水と新米を使い
匠の技で
杜氏が
美味い酒を仕込む
酒
受けない
飲まれない
親父の日本酒
一升瓶と椀で酌み交わし
語られる事のない
古の酒。