詩人:咲麻 | [投票][編集] |
全部消してみたのに
自分が消えない
自分を消せない
依存する事で
存在の自己主張
存在する事で
顔色伺いの集団生活
総てを無かった事に出来たらと
暗がりで膝を抱え願う
目に映らない何かが
纏わりついて消えない
いつまでも私を放さない
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自分の居ない場所で、
時間が流れていく。
当たり前の事なのに、
どうしようもなく嫌だった。
置いてかれている様な、
仲間はずれみたいな、
いつまでも見つけてもらえない、かくれんぼ。
悲しくて、
怖くて、
寂しくて、
泣きべそな私は、
わざと見つかりやすい所に隠れるんだ。
どうか見つけてね。
私の知らない物語、
聴かせてください。
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夕暮れ時
見上げた空が綺麗だった
何色といえない
淡い色たちのグラデーション
夕暮れ月
ぼんやりと先透けて見える様な半透明
あの月に裏側に
何かがあると夢見た昨日
あの月の裏側に
行ってみたいと今日
あの月の裏側に
何もないと思い知る明日
でもどうか
消えないで居てください
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寒い寒い夕暮れ時
おかえりを告げるチャイムの音
ぐだぐだの宿題
お腹を空かせながら見るアニメの放送
だんだんと近付いて来る車の音
あの独特のスピーカーの声
せがみもらった500円玉を握り締める
まだ小さな手のひら
ブカブカのサンダルを履いて走る
にっこりと微笑み
「オマケだよ」
と、嗄れた声
「ありがとう!!」なんて
遠慮を知らないあの頃の
駆け出す事のないハイヒール
母にせがむ事も無く取り出した財布
上品に強情に
いつの間にか身に付いた遠慮の仕方
「オマケだよ」
微笑みも変わらず嗄れたあの声
「ありがとう」なんて
懐かしくて照れ臭い
小さな声で
世間はまだ
あの頃のままに
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空は明るく
昨日までが嘘みたいに晴れてて
もうコドモじゃないから
「早く帰ってきなさい」
なんて、着信はないけど
なんとなく
ドアを開ける瞬間の緊張は変わらないね
まだオトナでもないからさ
玄関先のつけっぱなしの灯りが
ひどく優しく思えたんだ
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始発が動き出して
空もだんだん明るくなって
眠りたいのに
眠れない
誰かが言う
「本気で疲れてないからだ」って
同じ時間
同じ作業
本気で疲れてしまう誰か
と
本気で疲れてないらしい私
「もっと頑張りなさい」
もっと。ってどれくらい?
これくらいだよって説明が欲しい
ボロボロになるくらい
自力で立ち上がれなくなるくらい
そしたら眠れるのかな
浅い眠りの中
夢に怯える事なく
温かな布団の中
夢なんて見る事なく
眠れる様になるのかな
ただ眠りたい
訳わかんなくなるくらい
ただ眠りたい
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夢があっていいね
目標があっていいね
幸せだねって
そんな事ない
夢に近づくために
目標を達成するために
どんだけもがき苦しんだかを
その人は知らない
捨ててしまえたら
どれだけ楽になれるだろうって
その思いを知らない
何が幸せで
何が不幸か
そんな事わからないけど
人と自分を比べて
優越感とか
劣等感とか
そんなのって悲しい
自分は自分で
人は人で
結局はそれだけなはずなのに
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片思いとか
恋愛対象とか
そういうんじゃない
大切な
大好きな
そういう人とのお別れ
きっかけ作らなきゃ
きっともう会わない
きっかけ作れないから
きっともう会えない
そんなお別れ
そういう人
だけど悲しくて
さよなら。なんて言いたくないから
それじゃあ、また。って
あとに隠された
また、いつか。は
いつかの存在があまりにも遠すぎるから
口には出さない
心の中でそっと呟く
さようなら。
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部屋は物で溢れる
心は虚無感で埋もれる
捨ててしまえれば楽なのに
手放す事を恐れる
大切なモノと
そうでないモノと
分別出来ずにしまい込む
いつしか引き出しはいっぱいになって
行き場を無くして彷徨う
必要な時
欲しいモノが見付からない
余計なモノばかりに目がつく
どうせならと
多分大切なモノをまとめたはずの
その箱の鍵が見付からない
その箱の中身を思い出せない
大切なモノなんて
本当は1つとしてないのか
溢れてるモノすべて
本当は大切なモノなのか
わからないまま
取捨選択を繰り返す毎日
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溢れ出した後悔は
本当はとてもちっぽけなモノで
『大切なのは今だ』って
そう誰かが歌った
立ち止まり
振り返った私を
『過去を振り返るな』と
誰かが背中を強く押した
過去に捕らわれる事は
ひどく悲しい
過去を振り返る事は
ひどく懐かしい
でも
この悲しみは
いつかきっと越えられる
この懐かしさは
前へと進む力に出来る
だって
あの時の今が今を
これからの今を
つくっているんでしょ?
もしもそうなら
すべてを抱き締めて
失わずに生きなきゃいけない
そんな気がするんだ
そうやって生きたいんだ