いつかの通い道にみあげるささやき揺れる笹の葉と沿うように歩く速さの川の流れを見つければ緑の風のなか不器用に折った笹舟の消えてははねる姿を思い出す前を走る誰かの顔と笹舟の行方は雲の縁取り侵食する空へとけたはたしていつかの笹舟のようにこの一瞬も蒼穹のかけらになりはてるのだろう十六夜の月のように宇宙の影に吸い込まれていくあなたの頬の輪郭を斜め後ろから目でたどり今あなたをこれきりとばかりにあなたを想う
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