貴方が私に囁く声は
私の精神を混濁させる

目眩がするの

だから貴方に
しがみついていい?
貴方に頼っていい?

貴方の口が楽しそうで
言葉を紡ぐその口は

変な気分にさせるの

だから貴方の口
なぞっていい?
塞いでいい?

貴方の存在が
私を正常でいられなくさせるの

クラクラ
目眩がするの

…doll…
dollの体…は?

dollに合う器は
何処にある?

捜してるの
捜しても捜しても

見つからないの

願えば、思えば願いは必ず叶う…

なんて優しくて
残酷な嘘…


願うだけでは
思うだけでは


叶わぬ夢の方が
多いのに

偽りと真実
違うようだけど似た言葉

偽りの中に真実はあり
真実の中に偽りがある


仮面を被ろう
偽りの仮面を

たとえそれが「偽り」の仮面だとしても
永遠の「偽り」は「真実」になる


偽りの仮面も
真実の仮面になるのだから−…

貴方の腕が私を抱き留める
貴方は私を見つめて
ただ優しく笑んで
私を抱き締めてくれる


そんな優しい貴方が
誰よりも好き−…




貴方の手が私の首をきつく絞める
貴方の瞳が冷たく私を見据える
意識途切れるまで私を苦しめる


そんな狂おしい貴方が
誰よりも好き−…


さぁ…今宵の貴方はどちらの貴方?
私は変わらず貴方を受け入れる…


貴方の優しさも
貴方の狂気も


全部全部


私だけの物だから−…

心が壊れる前に
自身を代償とす


月夜に光る刃が
赤に染まる


血を見、安堵する
痛みを感じ、安定する


でも、貴方は気付いてない
傷は癒えないという事を


更に深く刻まれるという事を


またその頬が
雫に濡れるとき
再び刃が朱に染まる


何度も何度も
心が壊れない為に

自分の躯を代償にして

鳥籠の外
貴方は現れた


私は何も出来ない
何も感じない
存在価値もない
お人形だ…


でも貴方は
鳥籠の鍵を開けて


私の手を強く引いて
私を外に出してくれた


初めて見る外
何もかもが怖くて
怯える私を貴方は優しく抱きしめてくれた


この時貴方と契約を交わした


私は貴方に一生ついていくと…ずっとずっと離れないと


だから
側にいますよ?…


ずっと、ずっとね…

私の可愛いお人形
貴方は私の操り人形

一人では動く事も
話す事も不可能

貴方は私に支配される

その瞳
私だけを見つめる

その口
私だけに甘い言葉を吐く

その腕
私だけを抱き締める


操り人形は私だけを愛する…私だけを見る…
私だけを…


冷たい凍えそうな瞳で
感情の無い言葉で
ぬくもりを感じない腕で

私は貴方を操ります
二度と離れられぬよう
私にその糸を



繋いで…

私の全て
貴方にあげる


だから
私を貴方の一部に
貴方の餌に


口移しの餌を
喰らえばもう戻れない
禁断の果実を


死と云う夢の晩餐
生と云う絶望のデザート


その全てを
貴方にあげる


だから
早く早く



私を喰らって

闇の中
私は深く深呼吸する
何も見えない
冷たい闇は


私の吐息さえ
凍らせてしまう
そんな気がして
怖かった


誰か
誰か


私を闇から救って
私を此処から出して


いつも叫ぶけど
全ては闇にかき消されて
虚しく木霊するだけ


もう足枷は
首輪は
嫌だ…


誰か私を見つけて