詩人:くじら | [投票][得票][編集] |
吸い込んだ灰色の雲から
吐き出した白い欠片は
冷やされた風を
避けるように
ヒラヒラと流れ
地上に舞い落ちるたび
僕の足元で消えてゆく
音もなく
「何かを得るために
ひとつ何かを失う」
僕は今まで
いくつのモノを手に入れて
いくつのモノを
無くしてきたんだろう?
「痛み」や「苦しみ」も
この雪みたいに 簡単に
溶けてしまえばいいのに
大切に抱えた宝箱は
大切であるほど
失なった時の痛みは大きい
そして
それを忘れることは
痛みを覚えることより
ずっと難しい
僕はこれまで
人生の分岐点に立ち
選択を繰り返してきた
一方の道を切り捨ててきた
そのたびに
選んだ方の道から
選ばなかった方の道を
切り捨てた方の道を
羨ましそうに眺めながら
憧れを抱きながら
後悔している
選んでしまった
退屈な日常を
味気ない日々を
気休め程度の
ガムシロップを
かき混ぜながら
飲み干している
得たものが色褪せても
失ったものが尊くても
それでも僕は
何かを手に入れるため
何かを無くしてく
埋没した幸せを
掘り起こすために
汚れてしまった手で
悲しみを拭き取りながら
痛みと引き換えに
「何かを得るために
ひとつ何かを失う」
もしこの世界から
「時間」が消えたとしたら
この愛は
無限に続くのかな
永遠になるのかな