詩人:猫の影 | [投票][編集] |
腹立ちまぎれに煙を転がした
宙に舞って溶けたのは何だったか
視界を細めたところでイマイチなにも変わりゃしない
口に含ませた燃える葡萄酒は、ノドを焼いて腑に落ちた
鼻に抜けるチョコレイト
しみわたる毒だ
愚かな僕が君に触れた
奇妙な声で君は笑った
汚れちまつたかなしみは、どうしたって雪ぎきれない
回り回る愚鈍
苦し紛れのビールは泡と化した
はじけてとんだのはシャボン玉だったか
どうにも気の利かないBGMが飽和していやがる
暗に含ませた言外の意味は
脳に障るから削ぎ落とした
食えない女だねぇと
口では言ってみた
道化の僕が君に触れた
虚ろな目が僕を笑った
汚れちまつたかなしみを願くば捨て去れないか
回る回る偽証
そうでした
私が悪うござんした
どちらに転んでも笑えやしねぇ
笑えやしねぇって
お道化た僕が君に触れた
虚ろな目が僕を諌めた
汚れちまつたかなしみを願くば
嗚呼コイネガワクバ
捨て去れはできまいか
回る回る偽証
回れ回れ愚鈍
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浮いた気分が漂う空を
うんざりした目で眺めていた
暈ついた指先を重ねたみたが
もう何も覚えちゃいなかった
雨粒が音を立てて弾け飛ぶ
其の微々たる震え、なぁクロエ
流れ去るのが塵屑だけなら
嗄れた声色が嵩張ったので
もう何も語れやしない
空が静かに裂けていく
其の微々たる軋み、なぁエイミー
流れゆくのが群雲だけなら
掌から零れ出る
時の砂は絶えて無い
いつか見た風景
風が哀しく過ぎていく
其の微々たる揺らぎ、なぁ
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扉を開けたら目に入るみだれ髪
小さな息が鼻を抜けた
歯が浮いた
顎も外れそう
笑いごっちゃない
笑いごっちゃないって
「そうしてるといい女だ」
クスリともしやしねぇ
そういう意味じゃない
So you, in the night.
歯が浮いた
嘘がばれそうね
笑いごっちゃない?
笑い事さ
「ナニカクウモノハナイカ」
薬にもなりゃしねぇ
そういう意味じゃない
So you, in the night.
足りない頭が空回る
やるせない顔はうっちゃっとけ
歯が浮いた
想像するだに恐ろしい
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天つたづむら
めでたいのだ飛ぶ鳥が嘲ってる
清き調を
うたはざらめや
なんのこっちゃ
なんのこっちゃ
歌や唱や詩やないや
やいのやいの
おーおーちょいとな
山に月が
さしのぼるや
なんたらかんたら
ありゃガンダーラ
俳諧か灰燼か廃人かいや
そこのけここのけ
はーはーさっぱりぱり
眠いだけのご冗談
笑止!
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草いきれが鼻を撫ぜた
何か思い出しかけた
掠れた声が美しい
貴女の面影が風に揺らめく
気のせいかもしれないが
何も知れない
現の世の浮き沈み
それだけなんだろうか
切なくなるのも空々しいので
一応笑ってはみた
楽しい思い出になればいい
か細い指が美しい
貴女の面影が枷に成る可く
木の下には仔猫が寝ているだけだが
かもしれない
誰何の声は遠退いた
それだけだったろう
嗚咽するのも馬鹿馬鹿しいので
一応笑ってはみた
忘れて行ければそれでいい
それがいい…
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夕日が沈む
その価値をどう言えばいいのだろう
途方に暮れた
舞い落ちる雪
この雪片の名前はなんだっけか
声を失った
シンプルなのも困ったもんだ
余計なものが付き纏う
こうしてまたややこしくなる
ややこしくなっていく
這い蹲る影
その接点はどこだったか
生を失った
サンプルだけじゃ物足らない
余計なものが必要か
こうして厚みが出てくる
あつかましくなっていく
伝えたいことだけ伝わればいい
何を伝えたいかなんて忘れてしまった
這い蹲る影
その接点はどこだったか
生を失った
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トーストにかぶりついた
窓の下を赤い車が通った
コーヒーはもう沸いた
朝に何かを期待しても
大抵は報われない
ただ此処に在ることを
眼界に拡がる変哲のない世界
難しい本には悪いが
こんなのも悪かない
紫煙を貪り食った
股の下を黒い猫が通った
ターキーはもう焼けた?
旋回に手間取る視覚 やるせない
忙しない人には悪いが
こんなのも悪かねぇ
シンプルな世界だ
どうこねくり回すんだ
かないっこない
朝に何かを期待した?
報われないさ
ただ此処に在ることを
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後ろへ走る前景
光景は疾駆する
明日は明後日の方向
どうした
声はどこまで引っ込んだ
喉が怯えて振るわんぞ
死にたくなけりゃ降りるこった
アイルトンの向こう側へ
笑えないジョークも吹き飛ばせ
立つ瀬など飛び越えて
忘れ去る後景
前傾がスタンス
昨日は一昨日きやがれ
動じな
これはどこまで奔るんだ?
馬鹿が疑問符の「いづくにか」
死にたくなけりゃ降りるこった
ミカエルの向こう側へ
笑えないジョークは置き去りにせい
マッハなどとうにこえている
忘れ去る後景
前傾がスタンス
昨日は一昨日きやがれ
後ろへ走る前景
光景は疾駆する
明日は明後日の方向へ
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レモネードの優しい香り
君が横で笑ってる
聞き飽きたCD
今日もまた流してる
天気は悪くない
踏み出した一歩がやたらと浮ついている
天気が良いからか
君がいるからか
これ以上はno commentで
レモネードは優しい香り
君の横で笑ってる
聞き飽きたセリフ
僕もまた繰り返してる
気分は悪くない
差し出した一手がやたらと浮ついている
天気が良いからか
君がいるからか
これ以上はdon't touchで
どっかいこうか
ドライブでもしようか
そんなやりとり
やり飽きたやりとり
踏み出した一歩がやたらと浮ついている
天気が良いからか
君がいるからか
これ以上はno commentで
レモネードは優しい香り
君が横で笑ってる
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知らない娘が花を摘んでいた
澄んだ空の色
口元が微かに緩む
それはマズイと、口走る
そのマスタードの造形
散ることなどは思案の外
柔らかな指先が撫でる
知らない風が花を揺らしていた
澄んだ夏の色
口元を手で覆う
これはマズイと、口ごもる
そのマタドールの憧憬
死ぬことなどは思案の外
柔らかな血と肉が爆ぜる
散りぬれど
網膜に残る光量
そのマスタードの造形
散ることなどは想定外
柔らかな指先が撫でる
知らない風が花を揺らしていた
澄んだ夏の色