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猫の影の部屋


[482] Salvatio.
詩人:猫の影 [投票][編集]

わざわざ刳り貫いた夏をトーストにのせた
喧しい蝉の鳴き声が耳についた

さよならを言われる前に、と女はいった
こりゃ失礼、そう男は言った
そんな簡単なもんならよかったのに

うだるような暑さをスープに混ぜた
やたらと塩っ辛いんだ
だから夏は嫌いだ
ライ麦畑は1人で行ってくれ


私じゃなくっても、と女は言った
そんな気も、そう男は言った
そんな簡単なもんな訳もない

五月蝿いくらいの日差しをミルクで薄めた
生温くって飲めやしない
だから夏は嫌いだ
砂糖黍なんか見たくもない


夏をわざわざ刳り貫いたっていいことなんてありゃしない
わざわざ、にはいいことなんてあるわけない
お手並みは拝見済み


さよならを言われる前に、
私じゃなくっても、
わざわざそんなこと言わなくっても、
おっとこりゃ失礼、
そんな気も、
そんなこと言っても何もわからない


何も見えやしない

2010/05/13 (Thu)

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