ホーム > 詩人の部屋 > 猫の影の部屋 > 芍薬の花。

猫の影の部屋


[487] 芍薬の花。
詩人:猫の影 [投票][得票][編集]

草いきれが鼻を撫ぜた
何か思い出しかけた

掠れた声が美しい
貴女の面影が風に揺らめく
気のせいかもしれないが

何も知れない
現の世の浮き沈み
それだけなんだろうか

切なくなるのも空々しいので
一応笑ってはみた
楽しい思い出になればいい


か細い指が美しい
貴女の面影が枷に成る可く
木の下には仔猫が寝ているだけだが

かもしれない
誰何の声は遠退いた
それだけだったろう

嗚咽するのも馬鹿馬鹿しいので
一応笑ってはみた
忘れて行ければそれでいい



それがいい…

2010/05/22 (Sat)

前頁] [猫の影の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -