かさついた肌に、何かを染み込ませるように、ゆっくりと、君の名を呼ぶ。風が喉を駆け抜け、大気を震わせる。それは草木を揺らし、大地を豊かにし、空を晴れ渡らせる。星が瞬き、月がぱっくりと夜空を割る。指先でそれを感じとったら、冷めた野菜ジュースを口に含む。世界を吸い込んだら、また僕は君を想い、玄関をでる、そういう寸法だ。
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