太陽は知らない その残り火が もうわずかだということを すると どこからともなく 冷静な闇が訪れ その大きな手で包み込んでゆくのだ 高い建物も また小さな屋根も そして 街を隔てる川に立ち じっと腕を伸ばしたままの橋 その橋の上で女が しずかな瞳で 水の行方を追っている
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