ホーム > 詩人の部屋 > sivaの部屋 > 街

sivaの部屋


[21] 
詩人:siva [投票][得票][編集]

「今から帰るよ」

テールライトがそう語る 家路へ急ぐ光の波
同時に寂しさを感じるのは
その声さえ 光の波に飲まれているから

知らない土地だった この街並が
いつの間にか 住み慣れた街へ

けれど この光の波を見る度に
溶けこんだはずの自分が
何処かへ帰りたいのだと つぶやく


眠らない街の明かりが 問いかける

「何処へ?」

車を走らせても 先は見えないまま

「帰りたい」

ここではない 何処かへ

受話器から聞こえた その声に安堵する

帰りたい、君の所へ

ヘッドライトに照らされた道が 君に続いているといい

眠らない街をすり抜けて 君の元へ

「ただいま」 ただそれだけが言いたくて


光の波へ 溶け込みながら

2007/03/26 (Mon)

前頁] [sivaの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -