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そほとの部屋  〜 投稿順表示 〜


[102] 
詩人:そほと [投票][編集]

                 詩・曲 そほと

地元気象台の発表によれば
この時 鶏卵大の雹が観測されたらしい

急に暗くなった校庭に
白いものが跳ねて ころがった
一つ
また一つ
また一つ
二つ 三つ
けたたましい音を立て始めたのはピンポン玉ほどの雹だった
ぜんそくの予感

先生が教室の電気を点ける
いま何時間目だっけ
後頭部に潜んでいた闇がじわじわと広がって視界を侵食し始めた
ぜんそく
来た

休み時間になった
生まれて初めての大きな雹に
興奮し切った生徒達ははしゃぎまわる
一人ぼっちになるのが恐かったボクも
無理をしてはしゃぎまわる
視界が暗くなってきた
そうさ 空が真っ暗だからな
雹の白さが闇に眩しい

そこから記憶が飛んでいるんだ

先生の声だというのは分った
「 今 おかあさんを呼んだから 」

校庭を母に手を引かれて歩いていた
おんぶしてやるというのを断ったんだ
友達が見てるからね

学校が見えなくなると
母はしゃがんで背中を向けた
おんぶしてもらった
泣きたかった

今でも泣きたいのだ
ぜんそくの子供を残して死んでいった母と
同じ年になってしまったのだから
少しはいろんな事が分るから




2009/02/24 (Tue)

[103] ゆき
詩人:そほと [投票][編集]


すっかり雪雲

天気予報どおり

降る

あなたの義母様
たおれた
のですね

もう
助からない
のですね

あなたがしっかりしなくて
誰がしっかりするのです


言ってしまいした

こんな白
でしたっけ




2009/01/31 (Sat)

[104] まちぼうけ
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                 詩・曲 そほと

いいの
もう帰るの
雨の中まちぼうけは
もういいの
あじさいの頭を
右手でポンポンして
♪てんてんてん毬 てん手毬〜
 てんてん手毬の手がそれて〜〜
帰るんだもん
傘だってあるもん

いいの
もう帰るの
雨の中まちぼうけは
もういいの
いいのもう帰るの
気がついていたのだわ
とっくにね
こう見えてわたし強いのよ
けっこうそうよ
帰るんだもん
傘だってあるもん
♪てんてんてん毬てん手毬〜
 てんてん手毬の手がそれて〜
帰るんだもん
傘だってあるもん

きっと私は今
傘の花を咲かして
いるのでしょう
きっと私は今
傘の下で
泣いているのでしょう
この雨が止んだら晴れるわ
もう泣かんよ
あじさいは雨上がり
きれいね
♪てんてんてん毬てん手毬〜 
 てんてん手毬の手がそれて〜
帰るんだもん
傘だってあるもん



2009/02/24 (Tue)

[105] 巨瀬の大藤
詩人:そほと [投票][編集]

小川を跨いで
洗濯物と風にゆれ
ドラム缶の
ゴミ焼く煙に燻されても
雨降れば藤の花
家の歴史を見守って
誰かさんに付けられた名前も
有ったはず



2009/01/31 (Sat)

[106] 長生きマユ毛
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マユ毛に長いのが生えると
長生きの相だと知っていたから
ここんとこ
ちょっと嬉しかった
通勤途中のバックミラーで
その長いやつの消失に気付いた私は
ブレーキとアクセル
どっちを思いっきり蹴飛ばしてやろうかと
迷っていたら
タバコ入れといたはずの胸ポケットで
小人が
行儀良く並んで見上げていた
その小人らの
揃いも揃って
呆れ顔



2009/01/31 (Sat)

[107] ぼくが熱をだすと
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ほらまた言った
言うとおもったんだ
「 りんごすってあげようか 」
ほら全部ひらがなだ
枕もとに正坐したお母さんのひざに甘えると
やさしくお布団にもどされて
ぼくは
ほよほよと眠るのです



2009/01/31 (Sat)

[108] 雪解け水走る
詩人:そほと [投票][編集]

雪解け水
走る

わんぱく坊主の本領発揮
走る走る走る走る

純白よそ行きで眠りの役目に
痺れを切らしてた雪解け水
そこらじゅうの水路を走る走る
走る走る走る

盛り上がり
乗り越え
ぶっかり
跳ね上がり
走る走る走る

川ニナをころがし
メダカを驚かし
走る走る走る

陽光は慈父の眼差し
う〜らら



2009/02/01 (Sun)

[109] 泣いているのは
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帰ってきた一人の部屋
カップの中の夜の海
おだやかに揺れる方舟
選ばれし者と選ばれざるもの
・・ ・・・・・・・さてっと
泣いているのは
スプーンに映った顔だけにしましょ



2009/02/01 (Sun)

[110] あやめ
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手の届かない処に
雲はある
音符の雨が
池に音色の波紋を広げる


あやめは
ただ立っている

ただ立っているだけで紫の
幻想の舞を舞う

私は観客になる
花盗人になれぬ私は
行儀の良い観客になる



2009/02/01 (Sun)

[111] 小指
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田んぼの土が染み込んだら
こんな色の肌
そのどこかの親父の
サンダルを履いた指は4本
深爪の周りが白っぽく
隠れた小指は人生
ガソリンを補給した原付のギヤを
ロー セコ サード
で 見えなくなった
夜の道路のサンダルに
親父は隠れて見えない小指



2009/02/01 (Sun)
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