詩人:そほと | [投票][編集] |
ボクはどっちを見ていたんだろう
膨らんでゆく紙風船と
細く息を吹き込む母の口元と
つい昨日のような昔
いたいいたいと泣くボクの手に
痛くない痛くないと息を吹きかけてくれた口元が
同じ形をしていた事に突拍子も無く気付いて
とまどって
いえ うろたえて
いえ
また一つ 新鮮な フ・シ・ギ を
プレゼントしてもらったのです
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感性の育て方なんて私に聞くかい
そうねぇ
負けを認めちゃうことかな〜
子猫のカワイさに負け
秋の空の高さに負け
タンポポの根っこの深さに負け
糸月の細さに負け
海の穏やかさや怒りの激しさに負け
雪の静けさや重さに負け
手放しに何の構えも無しに
受け入れられた時
すっぱりと負けて自分が透明になれた分だけ
感性は育つのかもしれない
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いや
わかってるんだ
ボクはあなたの
美しい所ばかり
見ていることを
いえ
わかってるの
わたしはあなたに
綺麗な所ばかり
見せていること
ええ ええ
わかってるんです
恋とは
それほどまでに
価値有るもんだと
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ドブロギターがほしかった
全身金属の姿に憧れた
木の温もりがいやだった
音色の甘さがいやだった
ニスの肌触り
夏場は最悪だった
自分の声を変えたかった
酒とタバコに潰れた声で
ブルースを歌いたかった
でもだめだった
自殺したくなる衝動を誤魔化すには
それしかなかった
でもだめだった
でも生きている
俺はやっぱり母の子で
死んでも自分を捨てられない
ドブロギターがほしかった
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九州生まれで
九州育ちの母は
炭鉱労働者の父と結婚した
炭鉱景気の落ち込みに伴い
集団就職で東京に出てきて
最初のお買い物から帰ってきた母は
こう言った
「 レンコンと言ったら笑われた
こっちではハスと言うらしい 」
スカンと空いた穴が
あの晩の食卓に並んでいた
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昔々ある所に一人の私が居りましたとさ
今は昔
いつまでたっても一向に成長する気配のない私には
尊敬しているけど苦手
好きなのになぜか腹が立つ
そんなお方が一人居りました
ある日 おもてなし上手なそのお方が黒いお盆の上で
一粒一粒お米を選っておりましたので聞いてみました
「何をしているのですか?」
するとそのお方はこう言いました
「こうやって形の良いお米だけを集めて御飯を炊くと
おいしいのですよ
残ったお米は小鳥さんたちにあげると喜んで歌を歌ってくれます
でも お百姓さんに対しては言い訳ですね」
柔らかな春の日差しに包まれたたんぽぽの
わたぼうしのような笑顔をちらりと見せて
作業を続けられました
今は昔
いつまでたっても一向に成長する気配のない私は
柔らかな日差しに包まれて その一遍の詩を
痛いほど観賞しておりましたとさ
終わり
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むらさきつめくさ一本摘んで
食べるんでもなく
しゃぶるんでもなく
その あわあわとしたボンボンを
パクッ
むらさきつめくさの花びら
しみじみと眺め
パクッ
を しないのは流石に大人
論理的にこの衝動を
分析しようとしている私
所詮は子供
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夜空の星はなぜに輝く
真昼の太陽
お前のそのエネルギーは
喜びか
怒りか
花は
咲くことで報われるか
種を飛ばすことで
報われるか
開かぬ蕾に水を送り続ける根は
茎は
葉は
私は今
色メガネを掛けて
外を見ている