詩人:そほと | [投票][編集] |
影は
夕方の気配を見せはじめた
太陽は傾くもまだ光度を失ってはいない
田植えが終わったところは銀に
これから田植えのところは金に
仕事帰りの車の中
たばこの煙が充満している
私の帰る方向は
間違っているような気がしてしかたがない
道端でギシギシが
逆光に燃えている
詩人:そほと | [投票][編集] |
恋の終わった花びらは
ひらひらと旅に出るのです
うす桃色した花びらは
かわいいパラソルになりました
思い出は旅行かばんになりました
かなわぬ夢は帽子になりました
気付いたら
私が居ないのです
そこに私は居ないのです
私はここに居ました
ここから何も持たずに
旅が始まります
詩人:そほと | [投票][編集] |
気持ちのいいお天気の日に
気持よくお仕事してると
出くわすもんだな
みごとな紅のもみじ
反射する紅もみごとなら透き通る紅もみごと
へへっ
いい事を思いついて木下に潜り込んだら
思った通りみごとな傘が一本
あぐらをかいて見上げてしまったよ
詩人:そほと | [投票][編集] |
どこの梢だろ
充実した鳥の鳴き声が聞こえる
この谷川で
この谷川に
ぼくが手で触れたら
この谷川に触れたことにならなかった
ぼくは水に触れただけだった
でもそれは確かに谷川の水なのに
ぼくが触れたのは単に水だった
ぼくはどうやら
落としものをしてきたらしい
どこの梢だろ
充実した鳥の鳴き声が聞こえる
詩人:そほと | [投票][編集] |
私の詩を読んで下さる方は飛行機で
空はその方の想像世界
私の詩は滑走路であれば良いと思う
私の喜びは飛び立った飛行機を眺める事で
離陸の邪魔にならない程度に
雑草など生えていてくれれば
なおよろしいのです
詩人:そほと | [投票][編集] |
夜の祭りは悉く
水溜りの中に履物の底を見せて通り過ぎる
テキヤの声も
水飴の様な唾液を伴う男女の声も
全て向こう側だ
両親にぶら下がって越えて行く子供が
此方を見た
私が見えたか
見えたかもしれない
なぜならば
私は胎児の様に縮こまって居るしか出来ないからだ
祭りの花火は大き過ぎて
大き過ぎて全ては見えない
美しいのだろうな
どれ
も少し水溜りを広げてみるか
詩人:そほと | [投票][編集] |
わっ!!
あたふた あたふた
おろおろ おろおろ
こそこそ こそこそ
ごそごそ ごそごそ
掘り掘り
潜り潜り
もういいかな
わっ!!
掘り掘り
潜り潜り
まだかな
きっとまだだな
まずダメだな
ずっとダメだな
いつまでたってもキライな自分
詩人:そほと | [投票][編集] |
春はまだ浅く
気の早い一叢のれんげは
まだ半透明の花
まだ半透明の茎の上で
気の早いひばりの歌を
やわやわと聞いている
ふっくらと緩んだ地面は
影も光も吸い込んで
次の色を創っている
春は何処からも来ず
ここで生まれていた
大地が大きく息をした