詩人:そほと | [投票][編集] |
水芭蕉
乾いた心たちは
水を求めてそなたに出逢ったのだろう
水に口をつけ
沁み込む透明に安堵して顔を上げれば
真白き佛炎苞の
そなたが居るのだろう
水 清きかな
光 清きかな
吾等は思い出さねばなるまい
羊水より出でてタオルに包れた日の事を
未だ 水 清きかな
光 清きかな
さあ
心 清くあれ
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ポーチ・ド・エッグを作りましょう
なぁ〜に 見ていればいいんです
あの月にもうすぐ雲がかかる
あれなら貴方様にも食べられる
さぁ どうしたんです
あぁ やっと食べ始めましたね
ははぁ 固ゆで玉子がお好みでしたか
だいだらぼっち様
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無風
夕立で冷やされた夜気が這い込んで来る
それは体に染み込み
代わりに私が染み出して行き
体は眠る
無風
静かに稲妻が走り
遠く他人事のように雷鳴
昼間見た田圃では
勢い良く伸び始めた稲達が
力強い矢印となって天を指していた
つられて見上げた其処には
確かに何か在りそうだった
無論
私には見えるはずも無く
見えようはずも無く
すぐに忘れてしまったのだが
持って帰って来てしまったのだな矢印
静かに稲妻が走り
遠く他人事のように雷鳴
矢印の緑を噛んでみる
さらに 無風
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にゃん田家のカナはボヤくのです
にゃにかいいことないかにゃ
にゃ〜もいいことないにゃ
にゃんだかにゃ〜
それがおもしろくて
ボクはせっせとエサをやるのです
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詩・曲 そほと
野外作業の達人曰く
「 炎天下では太陽に背を向けて作業してはいけない。
体力を消耗するからである。 」
本日の安全地帯は戦場と化した
グリーンベレー
違った
グリーンベルトで蠢く者等を見よ
女の大業を成し終えた英雄よ
その出で立ち
麦藁帽子の庇を切り離しヘルメットにガムテープで貼り付け
後頭部からうなじにかけては汗取り兼用でタオルを垂らし
銀色に輝く背中の蓑の様な物はガスコンロのアルミフェンスだ
セオリーだの見てくれだのお構い無しの戦いぶりである
彼女等の戦いの相手は雑草
しかし襲い掛かってくる敵は
灼熱の太陽
吸血昆虫
排気ガス
騒音
低賃金
家庭内不和
黙々と戦う彼女らが
ストイックなまでに孤独と見えるのだが
おしゃべりが絶え間なく聞こえて来るのは
空耳だろうか
恐るべし草むしり戦士
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詩・曲 そほと
てんとう虫と呼ばれた車と筑豊のおばあちゃん
新車とお嬢さんの頃からずぅ〜っと一緒
世界中のコレクターから大金を積まれても
絶対に手放さない理由はね
「 私 これしか乗りきらんもん 」
観音開きのスバル360に
ネギが飛び出したスーパー・マルシンの袋を乗せて
てんとう虫と呼ばれた車と筑豊のおばあちゃんは
夕餉の支度へと ゆっくり急ぐ
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メッシュのTシャツをすり抜けて
秋の先触れが素肌にいたずらする
他愛も無いいたずら
メントールのフリをする
秋は何処から来る
鈴虫はなぜ鳴く
あれは羽根を擦り合わせる音
無限に熱を拡散させる音色
暴れる空気の分子に優しく諭す調べ
気付いてしまった
誰にもしゃべらないでおこう
子供が出来たら話してやるんだ
秋は鈴虫の羽根から