詩人:そほと | [投票][編集] |
私の心はなんと脆弱なのだろう
風が吹いたら枯れ枝
雨が降ったら砂の城
物音がしたら猫の耳
生活の為にと我慢して我慢して
ぎゅ〜っと堅くなった心は
脆くなった
詩人:そほと | [投票][編集] |
風は
関係なく吹き
関係なく去る
熱を
関係なく与え
関係なく奪う
( 立ち止まる私 )
枝と関係を失ったもみじ葉は
鬼蜘蛛と関係を失った横糸に出会い
宙の1点で舞い始める
( 瞬時に全てが抜け落ちた私 )
ただ 眺める秋は
雅
詩人:そほと | [投票][編集] |
骨焼き職人の帽子は高慢ちきだった
年季の入った鉄の箸は居丈高だった
無遠慮に母の骨を突付いたりひっくり返したり
焼け具合を確認するその表情はあからさまに語っていた
「 お骨は炎の芸術だ
こりゃ失敗だな
まあしかし
色は良く出た 」
カラフル脊髄背骨の内側
生前はガンなどいいですね
精神病などお勧めで
慢性病は通好み
公害病も二重丸
強い薬を飲むほどに残留成分増加して
お骨はカラフル芸術品
カラフル脊髄背骨の内側
マリンブルーにエメラルドグリーン
キャンディーレッドにチェリーレッド
母としては大好きなバイオレットが出たので
大満足に違いない
ガンと戦った甲斐も有ったろうし
成仏間違いなし
ただ 骨焼き職人は
たった45分で焼けてしまった事と
なおかつ焼け過ぎてボロボロになってしまった事に
いたくご不満の様子
詩人:そほと | [投票][編集] |
父の貰ってきてくれた赤い三輪車が
大きくて乗れないので泣いていた
その写真を大人になって見つける
寸分違わぬ感情と光景が
生で残っている事に気付く
もう一度泣いてみるか
近頃過ぎ行く時間が速過ぎる
詩人:そほと | [投票][編集] |
観音堂の水は
予想外に甘く
それは物質外で初めての
実体を伴う甘さで
観音堂の水は
小さな湧き水で
一人用の大きさしかなくて
歪なひしゃくなど置いてあって
古戦場の故事など読んできた私は
( いいえ たとえ読んでいなくても )
心細く屈み込んでいて
奉られているのは
千手観音で
水を飲むにしても
ふさわしい手が在るのだろうな
私には2本の手しかないので
この手で飲んだのだが
おこなえば
それがふさわしい在り方だと
あの甘さは千手観音の
微笑みだったのだな