詩人:そほと | [投票][編集] |
蛍やい
蛍やい
去年の蛍やい
来年の蛍やい
ちょいと教えてくれないか
あの世のかあさんは元気かえ
雪が積もったのだよ
あの日の雪うさぎが
まだ解けていないのだよ
あの赤い目が
あのひびの入った優しい手が
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今宵の月は強い白
空気が波になってそよいで行く
カエルの声が耳に入らない
噴出す汗すらどうでもいい
風呂上りシラフで歩いてみれば
コンクリの道でさえ
やさしいかもしれない
夏バテを言い訳にするのは
間違っていた
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布団で横たわるあなたも
棺の中で正装したあなたも
はや遠い人
これが川なら海にて逢える
これが川なら海にて逢える
されど海では広すぎて
私の涙は塩辛い
詩人:そほと | [投票][編集] |
夜空の星はなぜに輝く
真昼の太陽
お前のそのエネルギーは
喜びか
怒りか
花は
咲くことで報われるか
種を飛ばすことで
報われるか
開かぬ蕾に水を送り続ける根は
茎は
葉は
私は今
色メガネを掛けて
外を見ている
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むらさきつめくさ一本摘んで
食べるんでもなく
しゃぶるんでもなく
その あわあわとしたボンボンを
パクッ
むらさきつめくさの花びら
しみじみと眺め
パクッ
を しないのは流石に大人
論理的にこの衝動を
分析しようとしている私
所詮は子供
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昔々ある所に一人の私が居りましたとさ
今は昔
いつまでたっても一向に成長する気配のない私には
尊敬しているけど苦手
好きなのになぜか腹が立つ
そんなお方が一人居りました
ある日 おもてなし上手なそのお方が黒いお盆の上で
一粒一粒お米を選っておりましたので聞いてみました
「何をしているのですか?」
するとそのお方はこう言いました
「こうやって形の良いお米だけを集めて御飯を炊くと
おいしいのですよ
残ったお米は小鳥さんたちにあげると喜んで歌を歌ってくれます
でも お百姓さんに対しては言い訳ですね」
柔らかな春の日差しに包まれたたんぽぽの
わたぼうしのような笑顔をちらりと見せて
作業を続けられました
今は昔
いつまでたっても一向に成長する気配のない私は
柔らかな日差しに包まれて その一遍の詩を
痛いほど観賞しておりましたとさ
終わり