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そほとの部屋  〜 新着順表示 〜


[66] 夜と朝との合戦で
詩人:そほと [投票][編集]

ボタ山越しの山並みは遠く
遠く
更に遠くが
夜と朝との合戦場である

常に血を流し
稜線を紅く染めるのは

その敗走ぶりは
悪魔であろう

しかしだ

私が驚くのは
その敗走ぶりではない
あの  夜に
紅い血が
流れていたことだ



2009/01/30 (Fri)

[65] 斜面にフィット
詩人:そほと [投票][編集]

遠賀川の土手に
ひなたぼっこがてらの
おばあちゃん
腰の曲がり具合が
つくし取り



2009/01/30 (Fri)

[64] スキップみたいなあるきかた
詩人:そほと [投票][編集]

石 ゴロゴロの草のみち
きょうはお父さんと おさんぽだから
いつもより うんと
手をふって



2009/01/30 (Fri)

[63] ゴムまり
詩人:そほと [投票][編集]

ゆっくり流れたら
ひろわれました

はずまぬ私は
捨てられました

ゆっくり流れたら
また拾われました

はずまぬ私は
また捨てられました

人には
目が見えるそうな

はずむにはずめぬ
私だもの

はやく海に
抱かれたい

はやく海に
抱かれたい

ゆっくり流れたら
また拾われました

はずまぬ私は
また捨てられました

人には愛が見えるそうな
見えない瞳でなぜ見えましょう

人には幸せ見えるそうな
私には黒い空ばかり

はやく海に
抱かれたい

はやく海に
抱かれたい



2009/01/30 (Fri)

[62] 帰ろう
詩人:そほと [投票][編集]

車が通れば
すすきが揺れる よいよい
きっかり2回揺れる よいよい

いつもの野良猫が
のんきにエサを待ってるはずだ

川の横の県道
夕日もやわらかくなっている
帰ろう

車が通れば
すすきが揺れる よいよい



2009/01/30 (Fri)

[61] 
詩人:そほと [投票][編集]

こたつで
ミカンに爪をたてる指
おはしを
じょうずにつかう指
魔法の
ように毛糸を編む指
ボタンを留めてくれる指
ナミダを拭いてくれる指
母さんは
ボクが生まれるずっと前から
やさしく やさしく してくれた
夜降る雪が
静かなように
春咲く花が
綺麗なように



2009/01/30 (Fri)

[60] 天空の猫
詩人:そほと [投票][編集]

天空の猫は
片目だけで地上を覗き見するのが
たいそう面白いらしいのだ
まん丸に見開いたり細めたり
雲に隠れて見えない時でも
思い出してはノドをごろごろ鳴らして
たいそうご機嫌らしいのだ
どうも人間という種類が
飽きさせないらしい



2009/01/30 (Fri)

[59] つくしとり
詩人:そほと [投票][編集]

ひあたりの良い川の土手
いっぽんとったら母をみる
はしりまわってつくしとり
いっぽんとったら母をみる
ころげまわってつくしとり
編んでもらったセーターが
枯れ草まみれになってても
目を合せれば微笑みかえす
ここはひあたりの良い川の土手
ころげまわってつくしとり
はしりまわってつくしとり

2009/01/30 (Fri)

[58] 湧水
詩人:そほと [投票][編集]

冷徹な温度を秘めた
吹き上げられた砂が放つ
コントラスト
波紋の屈折が生み出す
グラデーション
空気の振動を介さぬ
心地よい調べ

湧水が見たい

気だるい
ありふれた朝が
地平を離れ
大きく見える
無表情な
車と車と車
流れ

タイヤはどうして
黒  どうして

「湧水が見たい」

無意識のつぶやきに
我  おどろいた朝



2009/01/30 (Fri)

[57] 春は少しの風がほしい
詩人:そほと [投票][編集]

春は少しの風がほしい
ゆらいで届く太陽に
小さな花が あちこち勝手
口下手な私にも
聞いてやるよ と
わらって見える



2009/01/30 (Fri)
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