詩人:そほと | [投票][編集] |
ボタ山越しの山並みは遠く
遠く
更に遠くが
夜と朝との合戦場である
常に血を流し
稜線を紅く染めるのは
夜
その敗走ぶりは
悪魔であろう
しかしだ
私が驚くのは
その敗走ぶりではない
あの 夜に
紅い血が
流れていたことだ
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ゆっくり流れたら
ひろわれました
はずまぬ私は
捨てられました
ゆっくり流れたら
また拾われました
はずまぬ私は
また捨てられました
人には
目が見えるそうな
はずむにはずめぬ
私だもの
はやく海に
抱かれたい
はやく海に
抱かれたい
ゆっくり流れたら
また拾われました
はずまぬ私は
また捨てられました
人には愛が見えるそうな
見えない瞳でなぜ見えましょう
人には幸せ見えるそうな
私には黒い空ばかり
はやく海に
抱かれたい
はやく海に
抱かれたい
詩人:そほと | [投票][編集] |
車が通れば
すすきが揺れる よいよい
きっかり2回揺れる よいよい
いつもの野良猫が
のんきにエサを待ってるはずだ
川の横の県道
夕日もやわらかくなっている
帰ろう
車が通れば
すすきが揺れる よいよい
詩人:そほと | [投票][編集] |
こたつで
ミカンに爪をたてる指
おはしを
じょうずにつかう指
魔法の
ように毛糸を編む指
ボタンを留めてくれる指
ナミダを拭いてくれる指
母さんは
ボクが生まれるずっと前から
やさしく やさしく してくれた
夜降る雪が
静かなように
春咲く花が
綺麗なように
詩人:そほと | [投票][編集] |
天空の猫は
片目だけで地上を覗き見するのが
たいそう面白いらしいのだ
まん丸に見開いたり細めたり
雲に隠れて見えない時でも
思い出してはノドをごろごろ鳴らして
たいそうご機嫌らしいのだ
どうも人間という種類が
飽きさせないらしい
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ひあたりの良い川の土手
いっぽんとったら母をみる
はしりまわってつくしとり
いっぽんとったら母をみる
ころげまわってつくしとり
編んでもらったセーターが
枯れ草まみれになってても
目を合せれば微笑みかえす
ここはひあたりの良い川の土手
ころげまわってつくしとり
はしりまわってつくしとり
詩人:そほと | [投票][編集] |
冷徹な温度を秘めた
吹き上げられた砂が放つ
コントラスト
波紋の屈折が生み出す
グラデーション
空気の振動を介さぬ
心地よい調べ
湧水が見たい
気だるい
ありふれた朝が
地平を離れ
大きく見える
無表情な
車と車と車
流れ
タイヤはどうして
黒 どうして
「湧水が見たい」
無意識のつぶやきに
我 おどろいた朝