詩人:そほと | [投票][編集] |
なみだの目
まばたきもせず
ほほをしめし
うす紅いくちびる
かたくむすぶ
ふうわりと
風が髪をみだし
ぼくの手が
あなたの肩にある
すきだよ
の
ひとことで
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詩・曲 そほと
悲しい時は
夜の虹をあおげ
穴倉で
グラスの底の自分を
喉の奥に放り込んでいるのは
誰だ
お前のラブレターは
飛びすぎる紙飛行機
360度砥いでしまった刃物
圧縮されてダイヤになった砂糖は甘くない
映り過ぎる鏡はキラワレル
悲しい時は
夜の虹をあおげ
強がる小心者は
他人を傷付け
優しすぎるあんたは
自分を傷付け
誰かに助けを求めてみたところで
他人の涙は他人のままだし
為すすべも無く
達磨になって七転び八起き
耐えてばかりいたんじゃ
救われぬ
泣くだけ泣いたら
気が済んだかい
悲しみって水は
絞り出してしまいなよ
さぁ涙を拭いて窓を開けよう
月が見えるかい
星がまたたいているかい
悲しい時は
夜の虹をあおげあおげ
有りもしない物を
有ると信じるくらい
いいかげんな方がいいのだ
詩人:そほと | [投票][編集] |
また来たか
コーヒーでもいれてやる
そう警戒するな
インスタントだ
粉と
粉と
粉と
水
水は熱してある
この湯気くらいは
俺の真心だから
とりあえず飲め
鏡の外の疲れた俺よ
詩人:そほと | [投票][編集] |
朝がいつも
真新しいシャツを着て
ボクを起こしに来る頃
母さんはいつでも
先に起きていて
不服そうに寝ぼけまなこを
開いたボクに
「おめざめね」
と言いながら
大きなアメ玉を
口の中に押し込む
ボクはキョトンとした顔
してみせたけど
本当は知っていたんだ
起きぬけの
全ての幼児がそうであるように
目覚めの瞬間
母さんの温もりを感じられない
不安
あてもなく訴えるためだけに
ぐずらぬように
と
早く目覚めすぎたお腹の虫を
仕度ができるまで
だまくらかそうとしていることを・・・・
それでも
その時は
確かに幸福だったんだ
確かに
そして
今
朝は
昨日と同じシャツを着て
昨日と同じ手口で
起こしに来る
僕は僕で
長い長い夜を
眠ったふりをしながら
手ぐすね引いて待っているんだ
ヤツのシャツが
日一日と汚れ
擦り切れてゆく淋しさを
だまくらかすための
大きなアメ玉
口の中へ押し込んでくれる
やさしい手の無い事を
知りながら
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夜
降り出す雪のにおいが
朝の風に染みていた
さむさ坊主が肌に立ち
雪のにおいにふるえている
雪
朝には土を埋め尽くし
夜はその下に眠る
眠れる夜のために
バベルの塔より高く
螺旋階段をつくってやりたい
レンガを積んで
つくってやりたい
雪
朝には昨日の雪を埋め尽くし
夜はその下に眠る
眠れる夜のために
花を飾ってやりたい
あなたの好きだった
むらさき色の花を
枯れ枝のようだったその腕に
抱えきれないほど
雪
朝には昨日の雪を埋め尽くし
夜はその下に眠る
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ちぎった綿雪
ゆっくりと下界を眺めながら
気の向くままに下りて行く
草木の命に微笑みながら
山に降るやつ
畑に降るやつ
暖房の効いた屋根に降るやつ
どいつもこいつも
すぐ消えてしまうくせに
あの気ままで
清らかな笑顔はどうだ
やつらは知っているんだ
たとえ泥に汚れ消えようとも
また雪に戻れることを
純粋な命に
「ほろび」は無いと