詩人:そほと | [投票][編集] |
窓の外で
うぐいすが
歌をうたっておりました
それはそれは
やさしい歌でした
お礼に
あの人の名を
あげましょう
だから
明日もうたって
くださいな
わたし一人の
ためだけに
詩人:そほと | [投票][編集] |
地面から空へとぶら下がる鎖は
風にチャラチャラと鳴り
赤サビの粉を飛ばす
黒い皮膚から滲み出す汗はしょっぱくて
目から溢れる汗もしょっぱかった
天に召されることまでも許されず
足枷のまま埋められた
鎖は天よりの引力に引かれ
ぶら下がり
死して
位相反転したその者
地中高く舞い上がる
最終到達地点は
月
詩人:そほと | [投票][編集] |
あなたのとばしたシャボン玉
そおっと
てのひらにとったら
きえました
あなたの
やわらかなくちびるに
そおっと
くちびるかさねたら
やはりあなたも
きえますか
詩人:そほと | [投票][編集] |
私のまわりはイヤなやつばっかり
私のまわりはバカばっかり
サビた私がおもちゃ箱の底で泣いてます
本当の私を誰もわかってくれないと泣いてます
ギ・ギー・ツ・チッ・チキチキチキ
(自分の涙で自分の体はサビ付いた)
こんな醜い私はキライとまた涙を流します
私のまわりはイヤなやつばっかり
私のまわりはバカばっかり
呪文のようにくり返すくり返す
くり返すサビた私が
おもちゃ箱の底で泣いてます
ギ・ギー・ツ・チッ・チキチキチキ
詩人:そほと | [投票][編集] |
何て云う生地だか
わかりませんが
薄くって 黒くって
おかあさんのぬくもりが
ぼくの肩に
伝わってきます
ぼくの肩と
おかあさんのふともものあいだで
スカートがこすれて
ジャッカフン ジャッカフン
木の下をあるいても
ジャッカフン ジャッカフン
ぼくが石につまづいたときだって
右手をひっぱりながらやっぱり
ジャッカフン ジャッカフン
うれしくなってくちまねしたら
にっこり笑って
ジャッカフン ジャッカフン
詩人:そほと | [投票][編集] |
月
死者の魂のやすまる処
まだ生まれぬ赤子等の住む処
いにしえの人々よ
あなた方が
霊的直感で知りえた事実を
退化した私は書物で知った
犬神の一族が
月に遠吠えするのも
私が心淋しい時
胸を突き破って両腕を指し伸ばすのも
前世で縁の深かった
「いとおしい人」の
住むからではあるまいか
いにしえの人々よ
それにまちがいあるまいか
詩人:そほと | [投票][編集] |
稲穂がね
金色に笑いかけるんだよ
僕も笑うんだよ
似合うね 似合うね
秋の陽のね
手にすくえるような
やわらかさがね
腰をおろして
足 なげだして
これはもう拍手だね
うん 拍手だね