詩人:soul | [投票][編集] |
夢を手にして
次の日に燃えないゴミと一緒に捨てた
視界に広がる殺風景から注す
斜めに構えた陽の光を
ひどく眩しく感じていた
雑踏の中街頭スピーカーから聞こえた
胡散臭い愛が風に揺られて笑っていたのを
覚えている
テレビでは今日も
淡々とした口調で悲惨なニュースを語っている
自殺が増えたとか減ったとか
数秒後には笑うキャスターの顔があった
だが
その数秒間で起こる何かの一つを私は知っている
淋しがりの顔を無くした少女は
熱を持たない愛の言葉だけを信じて
空を飛んだ
飛んだ
少女は考えていた
必要だったはずの重力について
星一つ見当たらない
五月二十三日
春も青ざめる曇天の夜空
絶景と呼ばれる位置から見えるその無機質な景色には
まるで色が無かった事
その事実を誰も知らない事を