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高級スプーン似の部屋  〜 投稿順表示 〜


[367] まいまい
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

外は雨
空から槍が降っている
それでも
出掛けるって言うんだ
あの人たちは

ぼくにはそんな
勇気はなくて
勇気じゃないな
無謀なだけだよな
そういう風に諦めて
外の景色ばかり
眺めていた

明日には止むだろう
明日には止まなくても
明後日にはたぶん
先伸ばしにして安全圏
だと思っている屋根の下
目が離せない
ぼくは見ていた

ビニール傘と雨ガッパ
槍にも負けぬ意思を持ち
目的を持って突き進む
あの人たちの双眸を
瞳に映る夢ばかり
追っていた

天井突き抜け滴る槍
影の向こうから
未知なる首が
雨漏りに脅かされて
ようやく気付く
眺めているだけじゃ
自分すら守れないんだと

永遠不変のものはなく
頑丈そうに見えたって
やがていつかは砕け散る
背負った殻が
跡形なく消えてしまう前に
出掛ける準備しなくっちゃ

希望は見えない闇の中
それでも待てない槍の中
雨ガッパを着て傘差して
瞳の先に光射すまで
目を逸らさずに進もうか
夢に向かって出掛けよう

さあ



彼は喰われて死にました



ぼくは見ていた
だから出掛ける
目に焼き付いた屍越えて
避けて通ってきた道を
行く
そんな夢から
はやく覚めろよ

2011/11/08 (Tue)

[368] 青年の主張
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

語るように詩を読んで
叫ぶように唄を歌う

夜に咲く月のように
朝を告げる陽のように

慎ましやかに時を過ごし
ステージ上では拍手喝采

けれど
欲を持て余し
帰り道では涙を流す

みんなの前では
絶やさぬ笑顔
他には誰も見ていない
鏡の前では笑えない

温もり冷えて
底に落ちる滴
やがて凍る水溜まり
転んだ姿
見てしまったのは
顔を引き攣らせている
誰か

語るように詩を読んで
叫ぶように唄を歌う

本当はそうしたいんだ
そうしたいのなら
やればいいのに
大人だからと理由をつけて
ペルソナから漏れるのは
言い訳ばかり

夜に咲く月のように
朝を告げる陽のように

なりたい
なれない
なろうとしない

痛い痛いと時を過ごし
ステージ上はもぬけの殻

社会で争い敗北し
抜け出てしまった感情は
今どこで
何をしてるんだろう

噂をすれば
聞こえてきたのは

語るように詩を読む声
叫ぶように唄を歌う声

仮面を外して
見る空は
暗く醜く
だから明るく美しい
棒読みでも
頬を伝う温もりは
嘘じゃない

気付けば
目と鼻の先にある
それは落としたはずの

感情

理由は要らない
大人になっても
要らない自己なんかない

分かち合うように詩を
泣き叫ぶように唄を
内なる全てを解放しよう
こぼれる笑みも悲しみも
吹き抜ける曲に乗せて
唄を歌おう

2011/11/10 (Thu)

[369] 昼下がりの読後感
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またひとつ読み終えた

けれど
何ひとつ変わらなかった
ようで
ひとつだけ変わったのは


次の日には
もとに
戻っているかもしれない
別の日には
さらに
変化するのかもしれない

ぺろりぺらぺら
舐めるいちぺえじ

いつか忘れてしまうのか
そしてまた思い出すのか
今はまだ

ぱくりぱくぱく
ぶっくを咀嚼

片隅に残る余韻
ひとり味わい浸るのは

2011/11/16 (Wed)

[370] どんよりサンドリヨン
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青空
灰かぶり
泣いている
笑顔を見ると
鬱になるから
きみを虐めるんだ
今日も

長いまつげ
心を閉ざす
立ち込める暗雲
光の射さない顔を見て
乾いたぼくの胸は高鳴り

じめじめいじめ
しとしと愛し
さめざめ目覚め
逆さに吊るせ

隠した靴はもう戻らない

2011/11/30 (Wed)

[371] ケズリ
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歯を立てられたら
気持ち良くないんだって

だから
避けられるのかなあ

自信をなくして
丸まるけれど
そうして
なくなっていくのは
持ち味かもね

丸まる私を
尖らせるのも


削って削って
短くなってく

それを生きると
喩えるのなら

人はいつでも
ひとりなの?

鋭くなれば嫌われて
丸くなれば我を失う

うまくいかないものですね

2011/12/02 (Fri)

[372] 主に負けています
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妄想を
実写化したら
アイタタタ

ケンシロウ
実写化しても
アタタタタ

アタタタタ
アタタタタタ
アタタタタ


スプーン魂の敗苦

2011/12/05 (Mon)

[373] 星のまたたき少々
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両手もいらない
ひとさじでも
幸せ

それがしあわせ
なのだ

2011/12/21 (Wed)

[374] 左利きの馬鹿
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常識は蜘蛛
浮かばれない
飛び出す前に見えた糸
絡まりカラクリ
その場に止まり愛想笑い
とどのつまりはこの左手

多いだけで全員じゃない
忘れてきた才能を
探す日々
平々凡々と

操作するなら完全に
ぼくを殺してほしかった

2011/12/27 (Tue)

[375] 無反応
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年賀状を送った相手から
一月を過ぎても
返事が来ない
メールだってしたのにな
去年の夏から音信不通

何か嫌なことしたっけ
最後も笑顔で別れた筈だ
友達だと思っていたのは
私だけ?

過ぎ去る時の中で
落ちる影は薄まらず
日に日に色濃く
深く染まる

最先端の技術は今も
心の芯まで見透かせない

重かったのか
ツラかったのか
今も元気にしているのか

気になるけれど
気になるけれど

元気ならそれでも

2012/01/05 (Thu)

[376] 弱冷房の箱
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水面に映える銀河を走る
ゆらめく月
伸びたレール
驚き少ない箱は進む

交差する際
窓越しに見えた
窓の先
渦巻く性までくっきりと
この目に映る

急に恐ろしくなった

まるで
手をつける前に
完成していたパズルに
気付いた時のような

絵空事は
最初からなかった

奇跡と呼ぶのを嫌い
ただ黙って闇の中
泥のように微睡みながら
行く

朝靄 開けて
広がる先にも
決して外れぬ未来が
法則正しく
敷かれているよ

次の目的地
次の目的地へと
終焉まで

それでも
あらゆる感情を抱え
関係を持ちながらも前へ

がたんごとんと動く箱
ゆらり運ばれ止まる人
ようやく辿り着いた今

扉が開いて進むのは

2012/01/16 (Mon)
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