詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
左胸に手を突っ込んで
鷲掴んだ心臓を
途中で投げ出すことも多い昨今
空っぽだったもう片方の手に
手を取り合い
あなたと繋がってはや幾年
並んで歩いて謳歌する
鼓動が吐露する互いの真情
思いの丈が響き渡る
自分の命を
粗末にしなかったのは
共に生きるあなたの尊さを知ったから
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書きたいことがまとまらず
それでも書き出した
頭の裏に浮かんだ羅列
いまいちに思えて削除する
もう
思い出すことも出来ない言の葉は
薄いゴムの内側で息絶えたそれに似て
虚しい
萎える脳ではじめから
考えても考えても
納得いかずに蔵の中
誰にも見せることのなかった表現は
それでも与えたのか
私には落としたのか
影を
何かを
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ネクタイがうまく結べなくて
そのまま首を吊った
もう無理だって
諦めたのが
たまたま今日だっただけで
引き金にはいつも
指が触れていた
制服のボタンを掛け違い
部屋から出られなくなったあの日から
現在に至るまで
この手はいつでも
僕を殺れた
「ドアの外が世界なら、
僕が立っている
この場所だって……!」
それだけが希望で
まだ大丈夫
みんなと繋がっていると
信じたかったけれど
疑ってばかりいて
随分前から
こめかみを撃ち抜く準備は出来ていた
鏡の前に立つ
昨日と同じように
ネクタイを結ぼうとするけれど
うまくいかない
そうだ
もう死のう
ついに
手を掛けることのなかったドアノブに
ネクタイを掛けて頭を垂れる
最後まで醜いまま
僕は引き金を引いた
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「がんばれ」って
言われるのつらいよな
これまでの道程
あなたは十分過ぎるほど
頑張ってきたんだから
だから
頑張らなくたっていい
適度に力を抜いてさ
ゴールは
まだ先なんだから
この辺で一緒に休憩しないか?
たまには
振り返ってみるのもいい
ここまで
あなたが走ってきた道程は
これまで
あなたが続けてきた努力の結果
苦しんでも
苦しんでも
どれだけつらくても
誰にも弱音を吐かないで
たったひとり
頑張ってきたあなたに
この言葉を伝えたい
「がんばるな」
それは
ネットで見た
名もなき人の名言で
それは
ドラマで聞いた
有名な俳優のセリフで
それは
コンビニで流れていた
泣けると噂の応援歌で
見るたび
聞くたび
触れるたび
そのたび
俺は心から
感動するほど虫唾が走る
「がんばるな」って言葉が大嫌いだ
逆流する胃液を飲み込んだ時
感じる苦味と痛みを
「嬉しい」と認識したのなら
気が狂っているに違いない
俺はまだ正常だ
だって
頑張ってもいないのに
流せる涙もないだろう?
努力をしてこなかった
怠惰を貪ってばかりいて
走りもせずに
流れにそって
ちんたら歩く
そんな道程
振り返ったってさあ
頑張り過ぎて疲れた人への
一服の清涼剤となる言葉
これまでの人生
一度も頑張らなかった人には
どんな暴力をも上回る劇薬と化す
どうせなら
「がんばれ」って言ってくれ
そんな甘い言葉を吐いてくれ
と
頼んだ俺を殴ってほしい
お前はどこまで甘いんだって
「甘えるな」って叱ってくれよ
って
それが甘いんだよお前は
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視線を移して
世界を映して
記憶に収まる一枚一枚
引き出して思い出す度
展開される光景
確かめられるのは私だけ
過ぎ去りし日々の一角
頭の中に閉じ込めておくのは
勿体ない気もするけれど
頭蓋骨を叩き割り
中から海馬を引き摺り出して
これ見よがしに
振り回したとしても
だれかの脳裏に刻まれる景色は
わたしのものとはきっとちがう
卵をうまく立てられたって
新しい発見しかうまれない
虚実入り混じる思い出は
どうやっても
有り体を再現できなくて
わたくし中心的
本日の一枚
誰の目にも止まらぬ速さで
ぱしゃり
瞼の奥に焼き付いた
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足りない
足りない
全然足りない
欲しがり屋さんの
あなたには
何を足しても
何の足しにもならない
足りない
足りない
もっと頂戴
不足しがちな欲求を
満たそうと
あなたはどんどん
肥えていく
過ぎているのも
気付かずに
苦しいのに
もっと欲しい
止めればいいのに
止められない
目と鼻の先にある
24時間
開いている
年中無休の
その場所へ
行けば
大抵のものは手に入る
おにぎりだって
ゴムだって
けれども
大体代替品
本当に欲しいものは
手に入らない
だから何?
っていう
鏡を見れば
豚がいる
食える豚ならいいけれど
臭いだけなら
必要ないな
それでも
足りない
全然足りない
もっと頂戴
もっともっと
誰にも必要とされなくても
満たされたいと願うのは
いけないことですか
そうだとしても
止められない
どうしようもない豚です
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組まれた腕のように
いつも一緒に居た二人
仲の良かった片割れは
ある日忽然と姿を消した
アイツは
肩を落とし
失った片腕の
付け根辺りをさする彼にも
一番の友にすら
何も告げずに
どこへ消えたのか
それよりも
驚いたのは一週間後
新たな腕を生やした彼が
何事もなかったかのように
新たな友と
戯れ合っていたこと
あれだけ親しくても
それだけの関係だったのか
実は彼には
友と呼べる存在なんて
最初からいなかったんじゃないか
姿を消した彼にも
彼らの周りにいる人にも
更にその周りにいる人たちにも
本当は
みんな
友だちなんていないんじゃないか
友だちのいない私にはわからないけれど
「そんなことないよ?」
「私がいるじゃん!」
「えー」
「私たちって友だちじゃなかったの?」
「ショック……泣」
「笑」
「そんなことないよね!」
「私たちずっと……」
「一生友だちでしょ!?」
友だちがいてもよくわからないけれど
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流行りのゲームや
歌と比べて
つまらねえ人生だなと
わが身を憂い
黄色い線より外側へ
一歩踏み出した
締まらねえなあ
血ッ
血ッ
血ッ
42番線
ドアが閉まります
ドアが閉まります
ご注意ください
ご注意ください
ご注意ください
ご注意ください
ご注意……
向かいの席に座るJKが
顔を見合わせ笑ってる
チャック全開で
わが身を憂いだところでねえ
どうしようもないわ
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吹き荒れる言の刃
鎌鼬
巻き込まれた人たちは
みな満身創痍
渦中に立つエイリアン
傷一つなく
何者にも靡かない
恐怖感
方向性の不一致
苦しみがわからないのは
お互い様か
相容れない
憎悪
全身に受けて尚
明後日にわらう
血まみれのあの人たちを見て
それでもまだ
ナイフを捨てずに向けるのか
きみは
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大体煙草を吸う奴は
ハタチになる前に始めてる
職員室の死角にて
★★★★★★★の火を
押し付けられて
胸に開いた穴
いわゆる一子相伝ごっこ
校庭では
探偵と泥棒が走り回っていた
校門には猫の首
繋がりはブラウン管の内と外
孤独だったけど
愉しかったよね
麦茶を飲んでハイジャック
酔った勢いで
交差点に突っ込むぞ
ゴミ屑みたいに報道されて
センセーショナルにわらうんだ
「遠隔操作されてたの」ってね!
夕方観ていた新世紀は
14歳の僕には世紀末
シンジ君にも聖斗君にも
共感はしなかったけれど
なんか羨ましかったのかなあ
1999年も
2000年も大したことなくて
2045年まで
何をして生きればいいんだろうとか
ワンピースが完結しても
ドラゴンボールの人気は衰えてないのかなって
それくらいしか
無いわ
血は赤い
けど
視界は鮮明だけど
夜は暗いし
朝は起きたくないし
時間は止まらないし
繰り返すこともない
何色にも染まれないのに
透明でもなくて
いま自殺をすれば
何人かの人間が悲しむ程度に
何かを抱えて生きてきたようで
自分が自分じゃないみたい
逃げてもいいよって
悪者ばかりが聖者みたいに
優しくしてくれるから
愚者にとって
この世は牢獄
誰も殺していないのに
長い刑期を終えても
回復しない不景気
お金がない
希望がない
叶えたい夢も
言葉だけは14さい
大人は地獄だ
社会は極悪だ
出会い頭
沼そのものな女にハマり
ずぶずぶと
底のない底でもがく
今昔なく
この瞬間だけ切り取れば
間違いなく
ふわふわ
中二
浮くほど軽い
命