詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
「私は朝が早くって」
「もうこんな時間」
「でも寝れないの」
「私は朝が早くって」
眠らない自慢
聞く前から
飽きていたのに
今日は早めに
眠ればよかった
睡眠不足を貪って
夜が更けってく
脳が湿気ってく
「私は朝が早くって」
私はもっと早くって
「もうこんな時間」
まだこんな時間
「でも寝れないの」
寝れないんじゃない
寝ないだけ
「私は朝が早くって」
別に起きても
仕事にいくだけ
寝ても覚めても
生きていくだけ
文字数分だけ
不幸になった
まぶたの裏に
羊を刻めば
あれあれ
カーテンに陽が灯る
今日こそ早めに
眠ればよかった
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あなたが望む
私にはなれない
わたしが望む
私にもなれない
誰にも
望まれなくても
わたしが私
望んだ私は
わたしじゃない
もちろん
たわしじゃない
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紐解くヒモが
見つからない
覚えている引き出しを
すべて引き出した
なかった
ここにはもう
出掛けたくない
ここにいたい
ほどいたヒモを
結び直して
またほどく
残り時間を
無駄にする
散った花は
もう咲かない
次に咲くのは
外に出てから
メンドクサイと
ヒモを結ぶ
ほつれた森から
帰らぬ人に
朝起きて
自分だったら
ホッとしない
夢から褪せて
サナギになりたい
はばたく前に
食べられたい
羽がないとか
知りたくなかった
紐解くヒモが
見つからない
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難しく考えなくても
よかったのに
言われた彼氏は
クソ真面目に
考えなさすぎて
辞書で引いた
意味を写し
得意気に棒読ってた
→騙ってた
この時間帯の
ワタクシテキ有線は
一昨日とよく似た
悲しげな曲
つつつと流す
飽き、を通り越して
空気になってる
選んだ涙も
フィクションぽいから
人前では
エア元気出すよ
もう会えないのか
信じられないを
信じているから
もう会えないって
ろくに調べもせずに
確信している
その方がはやいから
受け止めたくなかったから
たまたま見かけた
諦めを手にとって
両手を塞いだ
脇腹ぶよぶよ
たるむ精神
明日も勝てないぞ
もう一度だけ会いたいな
九階から
ノーアウト満塁
さよなら人生
投げる身の価値は
彼女のスマイルに負けた
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コノハナシ
ヒミツダヨ ?
必然が偶然を装って
前触れも予告もなく
ぼくに降り注ぐ
聖域なきシナリオは
躊躇なく進んでいき
要らない選択肢をふたつ
ぼくに寄越してきた
それは
秘密を話すか
それとも
話さないか
隠し通せるかは
わからないし
許されるかも
わからない
どちらにせよ
片方を裏切ることになる
けれど
選ばないわけにも
いかない
傾く天秤
関係を持った時点で
罪になると
わかっていたなら
訊くんじゃなかった
うふふふふふっ
わかっていたクセに
罪な人
偶然を必然が偽装して
前触れも忠告も聞かず
ぼくは「しっ」に急ぐ
それは言わない
ヤクソクだろ?
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その花の意味を
決める論争から
戦争がはじまった
命を流す人の前に
咲く花は
人間にとって
意味はなく
そして
意味もなく美しかった
ちょっと
意外だったのは
散り際に
その花が泣いたこと
静かに甘い
甘い密を流してた
あーだこーだ
論理的に追求する前に
その花はすぐに
枯れたけど
虫は笑い
人々は戦い
風に乗せて
新たな火種
落としてゆく
憎しみや悲しみ
糧にして
過ちを育むこと
絵空事のように
教科書は話すけど
アタシはのんきに
花言葉を口ずさみ
あまり意味のない
平和を闊歩する
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子供の頃から
よく目に入る
ひだりななめまえ
喫茶店
なのに
一度も入ったことのない
ひだりななめまえ
喫茶店
別に今さら
入ろうとは思わない
けど
知っている場所にも
知らない空間があるのに
見慣れたとか
見飽きたとか
言ってしまうんだと
ぼくってやつは
子供の頃から
よく目に入る
ひだりななめまえ
喫茶店
最近
店の名前だと
思っていた看板が
実は違ってたって
知った
勝手なぼくと
名前も知らない
ひだりななめまえ
喫茶店
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アイスクリーム片手に
打たれた文字の羅列は
ケーハク極まりなく
読んだ人々の心に
不快感と
つまらなさを与えて
頭から朽ちていく
コーラ片手に
POPでコーンな文体を
過激に赤裸々に綴る
彼は温室育ち
空腹知らず
穴の空いた
ビニールの屋根に
不満を漏らしながら
何もしないクセに
言うことだけは
一人前で
独断と偏見で
世の中を自傷する
(或いは自嘲)
頭のおかしいフリした
ヤツなんだ
関わっても得はしない
時間のムダだよ
読むなって
俺の馬鹿が
またやらかした
クソちらかして
片付けない
ついでに言うと
オチはないぜ
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無色透明な
視界を求めて
まぶたを降ろしても
色彩は消えない
襲いくる
暗闇の波長
瞬く間に
際限なく拡がって
視界の隅々までを
覆った
色鮮やかな風景より
外へ
飛び出せない可能性に
思わず
目を瞑ろうとしたら
先刻、閉じていた
戦慄くまぶた
どうやら
俺は疲れている
生きる
それは
ひたすらに怖いだけの