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高級スプーン似の部屋  〜 新着順表示 〜


[362] 切り裂きカーブ
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

幸せになるだけが
しあわせじゃない

そう言って笑う君が
泣いているから笑えない

冗談でも真実でも

2011/10/29 (Sat)

[361] 人類滅亡からの翌日。
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くだらねえなと哭き捨てたのち、乾いた木の枝に火を着けた。

人類が猿の類似品だった頃から、何度も何度も世界は終わっていて。

そこに希望を見いだしたのはいつも自分、明かりを灯すのはいつも自分だった。

絶えず望みを絶やす空っぽ真空の頭に光を望むのなら心、心を拾って己の力で包み込めばいい。

温もりが伝われば、それは銀河の種となって新たな世界を生み出すんだ。

裏表のない孤独感。

それでも、あなたがいるのなら。

あなた自身の手で掴み取ればいい。

望むだけでは手に入らない、どんな光だって産み出せる。

誰にも見つからずに目の前に在り続けるであろう、不可思議な不可視がやがて、人知れず消失しても。

人類が滅亡しても、すぐにでもまた始まるんだ。


心を持て。

2011/10/28 (Fri)

[360] 拝啓バックグラウンド
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目の前で君が笑ってる

理由がわからない

君の後ろには道がある

地平線の向こう側

忘れてしまった事柄も

君の起こりまで続いてる



穏やかな曲

月の裏側から

手の届かない背中へ

後ろを見れば至る

いつかのスタートライン


目の前で君が泣いてる

理由がわかった気がした

君の後ろにある道を

踵を返して歩く君と

地平線の向こう側まで

手を繋いで歩く僕にも

わかった気がした


君の起こる原因に

関与していく僕の

後ろにある道から

ここまで辿ってきた歩み

これからへと続く未知に

二人で笑ってたいな

2011/10/11 (Tue)

[359] 夢呼吸シンドロウム
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汚れたいけど
汚されたくない
空中は怖いから
浮遊したくない
だけど地に足
つけたくない
綺麗じゃない
所詮すべては綺麗事
わかってはいる
わかったつもり
わかっていない
どこにもいないと
言いながら
ここではないどこか
探してる
知らない
知りたくもない

知りたい
綺麗になりたい
でも
本当の望みは
ミキサーの中
あなたと一緒に入りたい
スイッチを押す運命
ぐちゃぐちゃに
一体になれば
人の目なんて
気にしなくても
息を吸える
ひとりでいても
苦しくない
どんなときでも
息を

2011/09/19 (Mon)

[358] したくなったら
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したくなったら
いつでもします

そんな女も
仕事もなくて
いくつ
課題をこなそうが
いくつ
試練を乗り越えようが
追ってくるのは
締切ばかり

繋いでいる手の先に
いるのは自分だから
手放せばすべて終わる

だったらいいのに
終わらない
余計なものばかり
背負い込んで
背負い込んだ
つもりになって
腰が透ける
痛めた心は
愚痴しか言わない

したくなったら
いつでもいきます

そんな女も人生も
出会ったからって
過ぎ去っていくだけ

明日また明日
明後日明明後日
明けない日はないが
いつまで経っても
今日はしない

したくなったら
したくなったら

2011/09/18 (Sun)

[357] みつけてほしい
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叩きつけたくなる
表に出せない裏の裏
今日も言えなくて
ふい と顔を背けた

2011/08/29 (Mon)

[356] カラスの色は何色か
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かかったままのエンジン
公園の脇に停車して
微睡む
砂の上
転がる玉は赤に白

身を置く場所に
困ることはないのか

羽を休める姿も
抜け目なく
背中は広く
人工自然の境目に
爪痕残し
飛び立つ姿に恐怖する

だからわからない

けれども
深い深い暗がり
逃げずに目を凝らせば
くるくる狂い
焦点の合わない脳
至る道は同じと
知ったが最期

寝首は裂かれた袋の中に

左胸の警鐘を聞け
大切にしていないそれ
落としたくなければ
目を合わせるな
覗き込まれても
明後日からは離れるな

コズミックな落とし穴

ぺちょりと
背中に付着する
わらい声
振り向くな

急げ

2011/08/26 (Fri)

[355] ドキドキの王様
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恋する気持ちを失って
愛するアナタを手に入れた

力強く握る拳を
確認がてら紐解けば
てのひらには もない
不安になって
顔を上げると
そこには
丸裸のアナタがいて
惜しげもなく笑ってた

気持ち良いなら
バカでもいいさ

胸の高鳴りを伝えたい
手繰り寄せて
抱きしめた

手と手を取り合い
愛し愛

互いを知り合い
仲違い
仲直りして
また愛を知る

まだ恋だってしたいんだ

どれだけ
アナタと経験しても
カラダを重ねても
信頼関係築いても
傷ついて
それでも
好きだと叫んでも
まだ足りない
まだしたい

恋がしたい
愛したい

アナタに会いたい
キスしたい

抱きしめ抱きたい
最後まで

一緒にいたい

恋する気持ちも
愛するアナタも
心のままに
どこまでもどこまでも

したい

2011/08/17 (Wed)

[354] 1992*44444111
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「趣味は人間観察です」

言ってるわりには
自分すら見えていない

他人の足下ちらちら
値踏みをしては
呟き捌くよチラシの裏に

使い古された語彙で
「あいしてる」から
「ありがとう」に向けて
尋ねるアンカー
疑問系で読み手に委ねる
真実味に欠けたウタ
夢中になれずに非難した

斜め45°に構え
部屋の隅をつつくように
書いた私のウタも
読んでよねえねえ
後ろ向きに中指を立てた

わかりやすい
マイノリティは
増加の一途を辿り
オンリーワンにゃ程遠い
巷じゃありふれた存在さ

それでも中毒になる
毛の生えた脛をかじる
お前の続きが読みたいよ

だから今日も呟く
惚けた顔をして

「趣味は人間観察です」

アイツはここにいるよ

目の前のこちら側から
向こう側の目の前へ
へりくだって言う

ご成長有難う御座いました




POET10YEARS

2011/08/15 (Mon)

[353] この部屋で、彼を見続けはや十年
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九年前の二年目。


彼は身を粉にして心力を注ぎ、自らの命を削って魂を吹き込んでいく。

離れた場所からそれを言葉にするのは、とても簡単なことだ。

誰にでも書ける。

けれど、懸けるものがなければ、芽吹きもしない。

無精卵は夢を見ないから。

白紙の部屋の骨組みが見えなくなるまで、彼は集中力を高めていく。

頭を抱えながら激痛に堪え忍び、苦しみ抜いた先に煌めく一瞬を。

逃すものかと、彼は飛び出した。

研ぎ澄ませた直感で、閃きを掴め。

白紙の部屋に上がる産声。

意識の外に現れた。


ちいさないのち。


彼は顔を綻ばせながら、自身の頬に伝う涙に目もくれずにその手を伸ばした。

小さな命を胸に抱いて、心から想う。

ありがとう。

生まれてくれて。





<POET10YEARS:number=02>

2011/08/05 (Fri)
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