詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
十年前の一年目。
深く深く、昏い海の底へと打ち上げられた彼の意識は、白紙の部屋に不時着した。
額縁があれば、そこに絵を飾りたくなるのが本能か。
彼は考えるよりも先に筆を持ち、思いを注いで書きはじめた。
白紙の部屋で、己と対話をするかのように。
すらすらとはいかない。
けれど、確かな第一歩。
<P***1*Y***S:number=01>
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親のセックスを
目の当たりにするのは
それほど
気持ちの悪いことなのか
うまれたことを想起する
便意を催すように
書き散らかした
感情の散財よりかはいいよ
キめられた直感で
描いた個性は
奇抜な季節の風物し
極上の天才だ
客観的に直視しなければ
日陰でゆらめく炎は
自然にだって
吹き消される
それだけの命だから
計りに掛けても
微動だにしない
幾千分の数少ない知り合い
度重なるわたし
降り積もるぼく
引っ張られる個
たったひとつの
すべてを閉じよう
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言葉にして
伝えないで
何も言わずに
そばにいて
黙って
私の話を聞いててよ
役に立たない
無力な人間なんだとか
自分を責めないで
話を聞いてくれるだけで
いいの
それだけで
救われないけど安らぐよ
わがままばかり言って
ごめんね
いつもいつも
ありがとう
私の話
また聞いてね
いつまで
一緒にいられるか
わからないけれど
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スプーンAは
朝起きて
誰かに会うまでの間の
キャラなんです
スプーンBは
きみが起きて
眠るまで
きみの話を
聞いています
面倒になって
テキトーに相づち
打っちゃうと
大抵怒られます
スプーンCは
職場にいる間
他のみんなと一緒に
笑い合ったり
怒ったり
怒られたりしています
本心と建前の間で
揺れ動いて忙しそうです
スプーンDは
友達と会って
遊ぶことに夢中です
カラオケに行きます
買い物に行きます
スポーツを楽しみます
居酒屋で楽しみます
時々ケンカもします
でも仲直りします
それほど仲良くない場合
はやく時間過ぎろって
念じたりもしてますね
スプーンEは
トイレに入って
出るまでのキャラクター
スプーンFは
風呂に入って
出るまでのキャラクター
スプーンGは
行き道に
スプーンHは
帰り道に
それぞれ出没しては
何か考えている模様
緊急事態には弱そうです
スプーンIは
きみが寝てから
布団に入るまで
ひとりを満喫しています
そして
誰にも見せない
スプーンJを
表に出したり
引っ込めたり
何がしたいんでしょう
何もしたくない時も
あるそうですよ
聞いてない?
スプーンKは
布団に入ってから
眠るまでのわたしです
色々考えて
中々寝れないんです
困ったものです
スプーンA〜Kの他に
スプーンL〜Zがいます
実は他にも沢山います
どうでもいいですね
一人で何役
自分を演じれば
わたしはわたしを
モノに出来るのか
つーか
友達も恋人もいねェだろ
仕事も未来もねェんだろ
これからの人生
孤独に生きて死ぬんだろ
死んだように生きている
お前は俺だよと
スプーンA〜Zでも
それ以外の
どのスプーンでもない
誰かが言った
誰が言った
フォークか
ナイフか
それはスプーン以外の
誰でもない誰かか
お前はスプーンじゃない
違う本当はそうじゃない
誰かが言った
それはスプーン以外の
何者でもない誰か
実はわたしですと
白状したのはスプーンX
スプーンYは
ぽかーんと口開けて
これで終わりだよと
スプーンZが諦めました
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は足の本二
む進へ日明
かぶ転で処何
へ所場ぬらかわ
くすやしを我怪
いすやれ汚
ばれめ覚らか夢
に去過は来未
もてみでん望
ぬれ戻はに元
らかるあが化変
い白面
も々日るえ笑
ばて経月歳
かしつい
るれば呼と頃のあ
議思不訶摩
とへ朝る来
るげ告り振を手
らなうよさ
じ閉を幕にか静
に夜る去ぎ過
涙るれ流
にから滑
う伝を頬
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病気になって
年を取り
周りの目に映る
わたしは
あの頃とは違うひとに
自分でも
それがよくわかる
だから
誰の目にも
映らない場所へ
閉じ籠った
このままではいけない
けど
このままでいたい
でも
このままじゃダメなんだ
けど
やっぱりを繰り返し
過ぎていく
動けない
わたしの中で
どんどん
どんどん
膨らんでいくそれは
変わらない光を放つ
心の内側にある想い
停滞してたって
それでも
成長するんだね
左胸から溢れるように
輝く想い
あの頃よりも美しく
だから
わたしは立ち上がる
この場所から
もう一度
始めるよ
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被害者ヅラした怪人が
突然現れて
口撃を仕掛ける
そうだそうだ
可哀想だと
自分を囲う仲間を作り
謝罪を要求し
相手の居場所まで
奪おうとする
加害者仮面は
返信しないで
その場を去った
怪人の国は
今日も平和です
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それは
完成じゃない
ジャンプしたら
着地した
だけ
だから
完結でもない
あなたの限界は
底なんです
これ以上
続ける必要ありますか
それなら
不要なものって
なんですか
容易にスタート
切って貼って
添って削って
足しては引いて
増やして減らして
理由をつけて
オチつけて
ゴールを決めた
自分勝手で
ホントに困る
まだ
始まってもいないのに
終わったことにも
気付いてないの
雲ひとつ動かない
お空の渋滞
思考をストップ!
させるのも
あなた次第なんですね
痛い楯
矛で突いたら
すぐに黙る
そろそろ着地
したいんでしょ
視界にはっきり
くっきりと限界が
見えたって
逆さまになりゃ
様変わりする世界
さっさと降りてこいよ
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黒い山羊に
翻訳を頼んだのはいいが
相手には
正確に伝わったのだろうか
白い山羊からの
返事を見る限り
ちゃんと
伝わっていない気がするな
相手が
俺に何を伝えたいのか
それすらわからない
もういっかい
俺の伝えたいことを
黒い山羊を使って
相手に伝えてみよう
それよりも
なんとか山羊を使わずに
俺の伝えたいことを
正確に
相手へ伝える方法は
ないものか
それとも
俺と相手のどちらにも
正確に伝わっているのに
それを
心や頭がうまく
翻訳できていないだけか
でも
やっぱり
白い山羊に何度
耳を傾けてもさ
「メェメェ」
俺に何を伝えたいのか
さっぱりわからない
伝えていないことばかり
相手に伝わってばかりで
肝心なことは何も
伝わらないんだよな
困ったメェ
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うまれつき鼻のない彼は
正直者で
優しい心の持ち主だった
まるわかりの嘘にも
素直に騙されて
ひどい目に
遭わされてばかりいた
いくら傷ついても
相手を憎むことはなく
どれだけ
嫌な思いをしても
それは変わらなかった
人を信じて疑わない
誰にでも平等に接して
そして
誰からも嫌われていて
コイツ
鼻がないんだぜ?
嘲笑の渦中にいつも
彼はいた
差別と
偏見の目に囲まれ
度重なる暴力の果てに
見るも無惨な姿となって
彼は死んだ
血みどろなま臭い
鮮やかに流れる
それを見て
残酷な人々は思った
アイツの血も赤いんだ
片足を引きずりながら
キツネはどん底から
這い上がろうと決意した
盲目のネコは
絶望の淵に立たされても
光を見失わなかった
正直者で
優しい心の持ち主を
見習って
騙されていたことにも
気付かずに
キツネもネコも
人間たちも
知らなかったんだ
彼から鼻が消えたのは
うまれたあとの話だと
嘘をついても
バレないように
自分で
削ぎ落としたことを
みんなは知らない
彼がまだ幼かった頃
五体満足のぼくを
苛立ちから
ハンマーで
殴り殺したことさえも
それでも
アイツは人間で
彼の血は赤いんだ