詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
すくわれるのはいつも
あしもとばかり
だれも
ぼくを
みていない
だれも
ぼくを
すくってくれやしない
なんて
じこちゅうなかんがえは
どこかで
おとしたみたい
いまは
せかいのはしっこから
ちゅうしんにいるだれか
ひざこぞう
すりむくあなたを
みてるんだ
だれも
ぼくを
みていない
それは
きのせいだったから
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スプーンとは、食品や薬品をすくい取ったり、混ぜたり、量ったり、潰したりする道具のこと。
笑顔とは、にっこりと笑った顔のこと。
「もしかして、それは……スプーン?」
料理を食べる時に使われるソレ――銀製のスプーンを持つ彼は、天使のように微笑んだ。
「ああ。匙とも言うね」
疑問を口に
出すまでもない
問題を抱え
けれども
君を見ていると
思わず
喉から飛び出した問い
それは
スプーンですか?
って
微笑みながら
口にする
君の答は
やっぱりそうで
その手には
何があるのか
訊いたなら
スプーンだよと
微笑む君が
スプーンか
ああスプーンだ
ふふふのふ
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どこを見ても
美人だらけ
整った性格をして
派閥を作らず
陰口も叩かない
美人しかいなければ
ごたごたせずに
いざこざせずに
みんな同じ方向を向いて
争うことなく平和
精神的な疲れは皆無
人間関係に
これ以上
悩まなくて済むのにな
どこを向いても
問題だらけ
仲が良いのは表向き
いない人の陰口悪口
口々に愚痴グチ
吐いた排他的な関係
みんなもっと
仲良くすればいいのに
自分が折れれば
他のみんなと合わせれば
いいのになあ
そんな僕は
どこを向いても
美人だよ
あちらを立てて
こちらも立たす
聞き上手
みんなの話を聞いて
真剣に耳を傾けて
言わない吐かない叩かない
如才ない振る舞いっぷり
誰にも嫌われないんだよ
僕はいい人
どうでもいい人
別にいてもいなくても
いい
空気みたいな
でも
空気みたいに
必要かと言われたら
そうでもなかったみたい
誰にでも
いい顔をしたかった
わけじゃない
特に誰も
嫌いじゃなかったし
苦手でもなかった
だから
みんなと
仲良くしていただけで
でも本当は
誰とも
仲良くなかったんだ
みんなのことが
大好き
みんなのことが
大嫌い
感情の起伏がもっと
激しければなあ
誰かを嫌いになれたのに
誰かを好きになれたのに
あなたと関係持てたのに
心を映す鏡があれば
美しい人はきっと
鏡の前には現れない
どこを見ても
××××だらけ
みんなの相関図
飛び交う矢印
好き嫌い普通大好き苦手
四方八方
××××に囲まれて
関係ない場所に
僕がいて
木っ端美人
全方位から無視をされ
美しい人などいなかった
僕は
ここにいるのに
あなたは
どこを向いてるの?
陰口叩いていいからさ
嫌ってくれていいからさ
お願いだから
矢印を向けてよ
その前に
矢印を向けろよ
かなぐり捨てて
飛び込めよ
無理
(衝突かるのが
怖いんだ)
だから無理
無理ったら無理
自分が可愛いから無理
可愛くないけど無理
つまり無理
無理
バ〜カ
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外は
どしゃぶりの雨
雨粒のひとつにも
当たらずに
きみの胸へ
飛び込むには
部屋の中
泣きじゃくる
きみを笑わせて
そのあと
ちょっぴり
甘えればいい
雨が止んだら
買い物に行こう
それから
きみの好きそうな
カフェにでも寄って
お茶をしよう
そのあと
どこかでご飯でも
帰りに映画でも借りて
あとで
ふたりで一緒に観よう
今は雨でも
いつかは晴れる
そんな話でもしてさ
どしゃぶりでも
ふたりで笑って
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母の面影
残す赤子を
あやすうち
泣いているのは
目の前の赤子か
それとも自身か
わからなくなっていく
突如
鬼の形相に変わる
赤子の顔は
怒った時の母そのもの
私は驚き
手を離す
あっ、と声を出し
た時にはもう手遅れ
勢いよく地面に接触し
ピーナッツのように
砕け散るのは
母か赤子かそれとも
わからなくなっていく
まるで
マトリョーシカ
砕けた殻から現れた
笑う母の顔をした
ひと回り小さい赤子を
拾い上げ
安心すればいいものを
今はそういう
気持ちにはなれず
あのまま壊れた
ままだったらと
それを重荷に
感じてしまう
すると
どんどん
どんどん
手の中の
赤子はどんどん
重くなり
次第に苦しく
持ち続けるのが
困難になり
堪らず私は
赤子を母をそれとも
それを
床に落としてしまった
しかし
マトリョーシカ
落とさぬ命よ
砕けた殻から現れる
母の顔した赤子を
拾い上げては
床へと落とし
中から中から現れる
母の顔したそれを
いつしか私は
地面に叩きつけていた
はっ、と我に返り
見上げれば
そこには
私を抱きかかえて笑う
母の姿があったのでした
!
目が覚め
布団を捲り上げ
夢だと気付き
起こした半身を横に戻す
隣を見ると
寝息を立てる
母によく似たお前の顔が
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友達が地蔵で
クジラが雲でも
別にかまわない
あなたが生きていれば
なきがらに芽吹くよ
相手が誰でなくても
あなたが生きていれば
歌が家族に
☆が猫に早変わり
舗装された道路も
細かいひび割れさえも
息衝いていく
あなたが生きていれば
玩具は動きだし
天井のシミは笑顔になって
怖くないよ
あなた以外も
あなたすべて
だから
怯えなくてもいい
心に浮かべて
そっと頭を離すだけ
すべては自分次第
あなたが生きていれば
それだけで
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崖から落ちたら
夢でした みたいな
安心安全パイパイな
リスクなき絶望感
崖の上 雲の上から
俯瞰して
味わいたいの
他人の不幸 眺め
我が身
重ね合わせてはみるけれど
ひとつにはならないで
背後から
つつくような感覚
キモチイイのは
僕だけですか?
それでも
問題は何も
でも
答は知りたい
あなたの下した決断を
どうにもならない結末を
取るに足らない
第三者の視点から
ずっと見ていたい
不道徳 不謹慎 不実
気持ち悪い奴だと
罵られても
見下されても
やめられない背徳の
液
それはとても
とてもとても
幸せな気分なんだろうな
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お金を下さい
いくらあっても
今は足りない
食料を下さい
買い占められると
足りるものまで
足りなくなるよ
そこにあるのに
ここまで届かない
足がないよ
持ち運ぶための
エネルギーを下さい
人手が足りない
猫の手じゃね
癒しにはなるけれど
もっと多くの人たちの
力が欲しいの
助けて下さい
救って下さい
まだまだ足りない
愛だとか
優しさだとか
目に見えないものより
目に見えるものの方が
欲しても
手に入らないこともある
売名でも
偽善でも
自己満足でも
あなたに
どんな得があるのか
知らないけれど
目に見える
この手で触れられる
形ある何かを
わけてくれるのなら
それだけで
ありがたいの
きっと
今は
そういう時だから
形あるものを下さい
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誰かの投げた言葉が
たまたま通りかかった
誰かに当たった
目には目を
言葉には言葉を
本人なのか誰かなのか
傷ついた誰かは
言葉を投げ返した
あなたの選んだ言葉が
どれだけ正しくても
わたしの投げた言葉が
どれだけ汚くても
誰かにとっては
たぶん一緒
当たれば痛いの
痛いの
痛いの
飛んでかないの
どこにもいかない痛み
ずきずきと
左胸をノックする
誰かを傷つけたのは
あなたですか?
それとも
わたしですか?
開いた左胸のドア
そこには誰もいなかった
ここにはいない
それは
心にない言葉
投げた瞬間
出ていった
わたしやあなた
どこか遠くへ
誰かの元へ
だから
耳を澄ませた
聞こえてくるまで傾けた
もう投げないで
わたしをあなたを
大事にしてね
自分自身を
見つけたそれは
心からの言葉
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ぼくらに何ができる?
時間は巻き戻せない
早送りもできない
けど
再生できる
ぼくらは
神様じゃないし
魔法使いでもない
昨日を
なかったことに
できないし
今日をトばして
未来には進めない
たったひとりで
世界を救おうとしても
それを為すだけの力を
授かってはいない
けど
ひとりじゃないよね
ちからがないひと
ひとりひとりが
ちからをあわせれば
無力じゃない
再生できる
今日を生きて
未来に繋ごう
考えよう
ぼくらに何ができる?