詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
来る日も来る日も
思いを巡らせている
形にしないで遊んでばかり
大人になったら
怒られる相手
おうちに帰れば居ないんだ
夜が更けていく
頭が冴えてくる
ギンギンに研ぎ澄まされた
触覚を用いて
洗いざらい吐露したそれらを
抉り
折り畳むようにして
落としていく
私の影
光の中ならよく目立つのに
ここでは
どこに落としたか
見つけられなくて
思いは募り
わたしはわたしを拗らせる
見つからないのは
あなた方こそが
詩人だから
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疑ってしまうと
必要ないって気付かされる
だから
見ないように
踏み込まないように
考えないようにしてきた
ひとりで居ても
誰かと何かをしていても
わたしは他の誰でもないと
何者でもないわたし自身だと
信じなければ
わたしとして生きていられない
物真似じゃない
贋作じゃない
わたしはわたし
信じて疑わないと願っていたのに
無理していたから無理だったから
噛み締める唇
まるで下手糞
はじめからここまで
棒読みだった
いくら脚本が良くっても
演じる人がそれじゃあねえ?
滴る血
噛み千切ることも
途中で役を降りることも出来ずに
わたしはまだ
わたしを演じ続けている
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今なら死んでもいいと
思えるくらいに
生きててよかったと
一度も思えなかったので
今から死にますさようなら
満開の桜が真っ青だったら
あなたはどんな顔をするだろう
今この瞬間流行っているあの歌すら
75日で思い出になるんだ
セピア色のセピアって
イカ墨って意味なんだって
だからなんだって
言わずにさ
ちょっと聞いてよ
ちょっぴりセンチメンタル
思い出に頭の頂まで浸かりたい時
昔話はどれも
真っ黒に塗り潰されていて
あの頃はよかったなーってさ
ちっとも懐かしめないんだけど
だからなんなんだって
いつからだろう
どれだけ季節をまたいでも
景色を感じなくなったのは
ゲリラ豪雨のように
桜の花びらがどしゃ振っても
見渡す限り
未来はイカ墨色
顔色だけは真っ青さ
それくらい絶望でも出来たら
見える景色も変わるのに
何を言っても言われても
何も感じなくなったら終わり
でも
陽はまた登り
やってくる朝に
何も始めなくていいのか
ぐだぐだと長ったらしく
降り続く雨と同じく
うざったらしい思考錯誤の果てに
得たものがなくてもさ
昨日を無駄に過ごしても
今日を駄目にしないように
両手がいっぱいいっぱいで
それでも
捨てられなくって
新しいものが
手に入らなくなっても
今すぐ死ねないなら
いつか死ぬその日まで生き延びろ
真正面からぶつかれないなら
逃げろ
逃げて
逃げて
死ぬ気で逃げて
逃げ続けろよ目一杯
また今日も駄目だったと
嘆く夜も
また昨日も無駄にしたと
明くる日の朝にも悔やんだとしても
♯6B4A2B
75日後には塗り潰されていて
思い出せやしないんだから
別にいいでしょ
「またね」って今から
性懲りもなく始めたってさあ?
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この胸に秘めた理想は
言葉にした途端
とても馬鹿みたく聞こえて
きみには伝わらない
おかしいな
可笑しいのに笑えないなんて
オカシイのかな
今まで大切にしてきたものは
ゴミ屑だったって
今更
気付かされたって遅い
本当に大切にしなきゃいけないもの
失ってから気付いたって
手遅れなんだよ
ゴミ屑を抱きしめ泣いたって
慰めてくれる相手はいない
この胸に秘めた想いは
言葉にした途端
とても阿呆くさく聞こえて
きみには伝わらなかった
不幸にしたと気付いてから
幸せにするには
両手に抱いたゴミ屑を処分したって
遅い
もう遅い
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難しく考えずに
ただ紐解いてほしかった
他力本願ですけれど
あなたが知ろうとしなければ
わたしは此処から出られはしないの
遅いよ
時計の針は十二を過ぎて
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人の心を読んだあと
人の目を気にしながら
あなたの左胸にそっと戻した
気付かれなかっただろうか
知らない方がいいことがあるなら
死んだ方がいいこともあるのか
地球に爆弾を仕掛けて
確かめてみたい
必死と書いて
メメント・モリと読ませる
あなたが本当のところ
どれだけ本気で生きたいのかを
試すような真似ばかりしてごめん
って
鏡に向かってお辞儀して
ネクタイを締め直して玄関へ
今日も一日を始めるわたし
眠る前のわたしはどこへ
恥の多い生涯をかなぐり捨てるには
無駄に塗りたくった化粧
何層にも厚く重ねて無恥を晒す
この顔のせいで
時間が足りない
足りやしない
鏡の前で土下座しては
この世で一番の悲劇を劇的にぱしゃり
囲われた世界に投下する
不安や逆恨みからくる
燃料はまだまだあるよ
だから
背中を向けないで
わたしはここにいるんだよ
とっつきやすい
この心
つっついてみてよ
もっと
もっと
ほら
知りたかったから
手を伸ばした
見るんじゃなかった
って
悔やんでも
もう遅いんだよ
最初から気付いていたんでしょ
それなのに
それなのにさあ
他人事で済ませて
あったところに戻さないでよ
元居た場所には戻れないから
別のだれかに興味を示したあなたの心に落ちた羽毛は
精一杯の羽ばたきを示す(わたしという希薄な存在証明の)
唯一の証拠
その筈だけど
確かめるすべはなく
踵を返して家路に着いた
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大体煙草を吸う奴は
ハタチになる前に始めてる
職員室の死角にて
★★★★★★★の火を
押し付けられて
胸に開いた穴
いわゆる一子相伝ごっこ
校庭では
探偵と泥棒が走り回っていた
校門には猫の首
繋がりはブラウン管の内と外
孤独だったけど
愉しかったよね
麦茶を飲んでハイジャック
酔った勢いで
交差点に突っ込むぞ
ゴミ屑みたいに報道されて
センセーショナルにわらうんだ
「遠隔操作されてたの」ってね!
夕方観ていた新世紀は
14歳の僕には世紀末
シンジ君にも聖斗君にも
共感はしなかったけれど
なんか羨ましかったのかなあ
1999年も
2000年も大したことなくて
2045年まで
何をして生きればいいんだろうとか
ワンピースが完結しても
ドラゴンボールの人気は衰えてないのかなって
それくらいしか
無いわ
血は赤い
けど
視界は鮮明だけど
夜は暗いし
朝は起きたくないし
時間は止まらないし
繰り返すこともない
何色にも染まれないのに
透明でもなくて
いま自殺をすれば
何人かの人間が悲しむ程度に
何かを抱えて生きてきたようで
自分が自分じゃないみたい
逃げてもいいよって
悪者ばかりが聖者みたいに
優しくしてくれるから
愚者にとって
この世は牢獄
誰も殺していないのに
長い刑期を終えても
回復しない不景気
お金がない
希望がない
叶えたい夢も
言葉だけは14さい
大人は地獄だ
社会は極悪だ
出会い頭
沼そのものな女にハマり
ずぶずぶと
底のない底でもがく
今昔なく
この瞬間だけ切り取れば
間違いなく
ふわふわ
中二
浮くほど軽い
命
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吹き荒れる言の刃
鎌鼬
巻き込まれた人たちは
みな満身創痍
渦中に立つエイリアン
傷一つなく
何者にも靡かない
恐怖感
方向性の不一致
苦しみがわからないのは
お互い様か
相容れない
憎悪
全身に受けて尚
明後日にわらう
血まみれのあの人たちを見て
それでもまだ
ナイフを捨てずに向けるのか
きみは
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流行りのゲームや
歌と比べて
つまらねえ人生だなと
わが身を憂い
黄色い線より外側へ
一歩踏み出した
締まらねえなあ
血ッ
血ッ
血ッ
42番線
ドアが閉まります
ドアが閉まります
ご注意ください
ご注意ください
ご注意ください
ご注意ください
ご注意……
向かいの席に座るJKが
顔を見合わせ笑ってる
チャック全開で
わが身を憂いだところでねえ
どうしようもないわ
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組まれた腕のように
いつも一緒に居た二人
仲の良かった片割れは
ある日忽然と姿を消した
アイツは
肩を落とし
失った片腕の
付け根辺りをさする彼にも
一番の友にすら
何も告げずに
どこへ消えたのか
それよりも
驚いたのは一週間後
新たな腕を生やした彼が
何事もなかったかのように
新たな友と
戯れ合っていたこと
あれだけ親しくても
それだけの関係だったのか
実は彼には
友と呼べる存在なんて
最初からいなかったんじゃないか
姿を消した彼にも
彼らの周りにいる人にも
更にその周りにいる人たちにも
本当は
みんな
友だちなんていないんじゃないか
友だちのいない私にはわからないけれど
「そんなことないよ?」
「私がいるじゃん!」
「えー」
「私たちって友だちじゃなかったの?」
「ショック……泣」
「笑」
「そんなことないよね!」
「私たちずっと……」
「一生友だちでしょ!?」
友だちがいてもよくわからないけれど