詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
好きになったのは
きっと
きみの中にある
壊れた部分
好きになったのは
きっと
きみの中にある
壊す成分
同じだなんて
気のせいだけど
これから一緒に
作っていきたい
きみと二人で
崩していきたい
好きになったのは
きっと
誰にでもある
壊れる部分
同じだなんて
気のせいだけど
同じじゃないから
こうして笑える
知らない痛みを
今もとなりで
好きになったのは
きっと
きみの中にもある
壊す成分
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鏡に写る自分以外
誰も見る人のいない
部屋で一人
目も当てられないほど
脱力してるから
私はどこだと
探すけど
違う違う
脱け殻自体が本体だから
死んだ魚の目が泳ぐ
まるで
生きているかのように
せっせと働く心臓
怠けるゾンビだ
私は
いいからもう
黙ってて
流れる血液
蠢く細胞
必要ないよエネルギー
飲まず食わず
動かず倒れる
もういいよ
って
言ってるのに
言うこと聞かない
クスリの効かない
痛い痛い痛い痛い痛いと
叫ぶカラダ
五月蝿い黙れ
もうダメだ
って
諦めてるのに
泣き止まないんだ
この心
此処に在らず
うそウソ
脱け殻自身が本心だから
私はまだ生きていたいの
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いい人を演じる
役者を見て
いい人を歌う
唄を聴いて
なんだか自分も
いい人になったような
勘違いをしたのは
これで何度目だろう
昨日あんなに
ひどいことをしたのに
あの時ぶつかっても
謝らなかったのに
自らすすんで
人を傷つけたのに
きみが嫌がるのを
わかってて
ぼくはまた
嘘をついたのに
言ってることが
デタラメで
やってることと
チグハグで
本当だよって
平然と
真顔で
嘘をついたのに
全部フィクション
ぼくは演じている
あの役者みたいに
あの唄みたいに
いい人を
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ナイフを知りませんか
検索しても
ピンとこない
握りしめたこれは
それとは違う
影を落としても
反射しない
鋭利とは無縁で
虚しく空を切る
すべてはイメージ
顔の知らない描写を
知らん顔で試聴しながら
振る手はとても
さみしい
笑ってしまうほど
ナイフを知らない
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いつからだろう
あれほど
恋しかったアナタを
待ち望まなくなったのは
春よ来るな
春よ来るなと
幾度唱えても
近づいてくる
君の足音
遠ざけたくて
マスクに身を包み
ひとり震える夜
まだ冬なのに
むずむず
むずむず
鼻がむずむず
じゅるじゅる
じゅるじゅる
鼻水じゅるじゅる
ずびずばずびび
鼻かみずばすび
魔の手に掴まれ
人目も憚らず
私を汚す
君にどれだけ
抵抗しようとも
止まらない濁流
しょぼしょぼ
しょぼしょぼ
目がしょぼしょぼ
やにやに
やにやに
目やにやにやに
かゆかゆ
かゆかゆ
とにかく痒い
瞳を保護せよ
薬液を垂らして
バリアを張ろうとも
意にも介さず
軽々と打ち破り
多大なるダメージを
受けて赤い目
涙を流し白旗を振る
俺が何をしたって
言うんだっ!
鼻腔からの叫びは
虚空へと飲み込まれ
追い撃ちに遭うばかり
降伏しても
攻撃の手を緩めない
容赦なしの君に
もうもうろうろう
意識朦朧
ねむねむねむねむ
副作用でうとうとと
ふらふらふらふら
安定感も失われ
ぼやぼやぼやけて
明日が見えない
過剰反応する
我が身かな
勘違いしないで
べ、別に
アンタのせいで
熱くなってるわけじゃ
ないんだから!
デビューして
二年目の
春がやってくる
新たな恋と
戦いの予感
君とは
長い付き合いになりそうで
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踏み込んでくる者は
容赦なく
どうにもできず
あらゆる力の
ない人間は
抵抗しても
たかが知れていて
進行形のリアルへと
否応なしに
引き戻されて
倒れる余裕も
与えられずに
とにかく
生かされる地獄
ぼくの世界
独りの世界
もう構わないで
こっち来ないで
ガタガタ震える
頭で描いた
落ち着きのない
歪な円が
とても弱い
ぼくの防波堤
誰かひとりの
世界じゃないから
干渉されても
文句は言えない
けれども
厭なの
ワガママなんだけど
陽の当たる場所に
まだ用はないから
差し伸べないで
はやく引っ込めて
その手で
ぼくを掴まないで
救われなくてもいい
もう少しだけ
このままに
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君はウツだと言った
それを聞いて僕は
少しホッとした
こんな時代だから
こんな人間だから
おかしくならない
方が
オカシイ
なんてね
流行り病に浮かされて
死に体離脱
誰かを暗示るように
罵り続ける
自分自身にツバを吐く
灰色の世界
片仮名だけで構成された
君の抱える頭の中身
カチ÷って
飛び散る脳漿
そいつを啜れば
同種同食
僕の悪いアタマも
少しはマシになるかな
君の分まで幸せになるよ
あの曲ってさ
恋人(又は親友)が
死んだ時に
作ったらしいよ
それが迷信でも
おかげでヒットしても
唄には罪はないか
歌い手は
そんな噂すら知らない
やりたいことも
やらなきゃいけないことも
全部手つかず
ぬるい熱にヤられて
腐るあちこち
君の声が聴きたくて
耳だけを必死に守る
やがて朽ちていくのにさ
諦めながらも必死でさ
その姿は
自分じゃ見れなくて
見る気もしなくて
ただじっと
君の声に
耳を塞ぎ
じっと聴き入り浸る
これからの人生
死ぬまで
放心状態でもいいかい
人に訊くな
聴くな