詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
市長の名前も
知らない彼は
この街を
好きだと言った
とても真っ直ぐに
ズレていく
どんどんどんどん
自分を折らなきゃ
交われないなら
いっそ
関わらないでおこう
市長は彼の名前を
知らなかった
夕方
ニュースで
その事件を知るまでは
彼がどこで
道を
誤ってしまったのか
簡単に
謝ってしまった市長は
知らない
自らの首を吊って
終えたから
人生を
最後まで
歪んだまま
ジグザグに進んでいった
市長の知らない
彼のこれからは
彼自身も知らず
とにかく真っ直ぐに
ズレていくのであった
好きな街を離れても
変わらずに好きだと
彼は言った
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助けて
遠い過去
エンドロールに
君の名はなく
僕は泣く
飾り付けただけの
言葉だね
だろ?
お涙頂戴劇を
一人ぎこちなく演じ
ちらちらと客席を見る
私を探しに
あなたは来ない
助けて
何度言ったか
助けて
何度言ったと思う?
そんな質問
されたらウザイ?
ねえ
最初から
ウザイよねえ?
嫌いになれない
言い訳ばかりで
千里を越え
誰にも見えない
位置について
ひとりかくれんぼ
助けて
面と向かって
言える相手がいたら
助けて
大切な人にほど
言えなくて
行動に映す
「助けて」
と
伝わる頃にはもう
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佐藤のように
よくある固有名詞さ
ジョニーが
海に身を投げた
砂糖のように
溶けて消えちまって
太陽を失った世界は
とても甘くて
ベタつくぜ
Hey!
クソッタレ
Yes!
クソッタレ
お先真っ暗
明日の来ない今夜
何も見えない
それなのに
小さく灯る
泣き叫ぶ声
ジョニー
アンタは
俺たちの希望だった
ジョニー
アンタがいなくても
望みは絶やさない
俺たちは泣き叫んだ
そして歌った
地上を照らす
夜空の星よ
一つ一つの光は
儚く弱く
それでも
ジョニー
俺たちは歌う
何があっても
歌い続ける
ジョニー
俺たちの歌を
聴いてくれ
水平線は
英訳できない
俺たちだけど
聴いておくれよ
ジョニー
そう
スイートスイート
ワールド
ハゲ散らかした
ジョニー
カツラを脱ぎ捨てて
俺たちも
世界を照らす
包み隠さず
すべてを包み込む
優しい光
So
エコだよね?
そして夜が明ける
ジョニー
そう
スイートスイート
ワールド
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誰も他人の
「本当の自分」
なんかに
興味はない
そう言う
アナタに
興味を持った
私を少し
ヘンだと言った
アナタの笑顔に
癒される
他人じゃなくて
恋人だった
他人じゃなくて
二人共
変人だった
それでいーじゃん
自分なんて
探さなくていい
アナタがいるなら
私もここに
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思い出せたなら
僕はまだ生きてる
あーそういや
居たなって
あーそういや
あなたやおまえ
あーそういや
居たなって
特別なことのない日に
思い出す
記念に何か
話そうよ
記念に何かさぁ
ねえ
聞こえてるんでしょ
そこから
ねえ
ねえってば
眠いから早くして
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シミひとつない
個性が
汚れて破れて
誰なんだか
判別つかない
紙切れに
踏まれ踏まれて
足跡だらけ
辿ってもどれも
僕じゃない
薄汚い黒に変色
細切れになって
散り散りに
とても
ちっちゃくなった肝
食べると
毒に冒されて
アタマを壊して
暴言吐いた
個性はどこに行った?
下水に流され
消えてった
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ゾクってくる
なんとも気持ちの悪い
肌触り
あなたとの関係が
終わっても
切れない関係なら
さらっと笑って
爽やかに富んだ
会話をするのだろう
予定は未然に
防がれた
笑顔のあなたに
耐えきれず
会釈して
早足で逃げる
こける
痛い
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自転車をひとり
残して
酔いが回った彼は
眠ることを
決意したのかなと
妄測
植え込みに
飲み込まれている
彼を見て
これが私の
アイデンティティ
なんて
思ってしまう彼女は
永遠の十四歳で
命や人生を
何かに
比喩ってしまうのさ
現実に相対すると
かなり弱い
部屋に
独りでいる時だけ
強がり
なんてね
必死の抵抗を見せる
日記を公開
回りくどい
SOS
だけど
同情するなとか
言っちゃう辺りが
困っちゃう
その様は
にわとりが先か
たまごが先か
相手にされない
ひなのよう
ささやかな不幸を
もっと
楽しめないの?
それができたら
私の辞書から
無理もムラも
滅亡くなるって話!
午前三時を経過して
隣の人が
歩き出したから
私も
前を見たら
まだ赤で
ここまできたら
と
渡りきった
これが私の