詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
発信すると
誰かが受信すると
思っているふしがある
ふしだらな関係を望む
ふしがありふしぶしと
ふかしぎなぶしだとか
続けていくことに
意味などあるはずがなくて
大切なそのものを
見落としてしまっている
どこに落としたの
交番に届いていますか
遺失物は反応なしのつぶて
どこにも届いていないのなら
大切なそのものを
大切に保管すら出来ておらず
はじめからなかったのでは
疑われる始末
誰に
何を受信したのか
本末転倒であるが
本当に転んだわけでもなくて
擦り傷ひとつないから
人の痛みなど到底わからない
わからないですべてを
片付けて
でも片付けは一向に
うまくならなくて
そもそも中々やらなくて
お母さん先生奥さんに
怒られるまで重い腰を
あげなくて
中々片付けられなくて
その辺
発信
本文に
如実に表れているでしょう
ハローハロー
応答しない返答はない
これが答じゃないなら
どこにも解答など存在しない
存在しないそのものこそ
大切なもの
どこにもない失ってしまったもの
いつの間に失ってしまったのかも
わからないで片付けてしまっていいものか
と思いきや
まだ何も片付いていないから
転がっているでしょう
その辺に
発信すると
誰かが受信すると思っている
ふしがある
ふしがある
ぶしがいる
ふしあわせなぶしが
ふしだらなかつおぶしの
ふしぶしをふしふしふし
誰かって誰に
お母さん弟赤の他人
先輩まだ続けますか?
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たとえば
あなたがいなくても
三回まわって
「ワン!」って言える
明日
地球が自転しなくても
世界は回り続けるように
なんて嘘さ
たとえ話は的を射ない
あくまでも
たとえは
たとえでしかなくて
三回まわって
「ワン!」となく
わたしの頬を伝うもの
明日になれば
腫れ上がる瞼
地球最後の日だっていうのに
誰とも会えない顔が
そこにあるから
鏡を叩き割っても
あなたがいない現実は
覆せなかった
あなたがいなくても
地球は回るし
わたしも生きていけるって
それってなんだか
とっても
ねえ
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禍福を肥やして
生い茂る煩悩
欲を刈って
坊主になろう
そうして
念仏でもひとつ
唱えてみれば
ホーホケキョ
心から
あなたを好きになれるかも
余計なものが
本当に大事なものを
遠ざける
でも
それって
それほど大切じゃなかった
ってことにはならないか
振り向かずに
あなたは立ち去って
ぽかんと開いた口からは
ぐうの音ひとつも
出なくなり
坊主まる儲けとは
中々いかないもので
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中毒にもなる
人との繋がりは
毎日のように
距離を置きたくもなる
両手に余る
人々との関係は
上下左右
縦横無尽に拡がって
八方塞がり
雁字搦めの蜘蛛の餌
その癖
円網の糸を切る手のように
突然の抗えぬ力に弱く
あらゆるルールが乗っ取った
この人間社会に裁かれて
脆くも崩れ去る人間関係よ
縋りついても
濡れ手で粟
切り離されれば塵芥
馬鹿野郎
死んでしまえ
全部お前らが悪いんだ
糞が
最低だ
最悪だ
汚いな
どうしてこんなことに
なんであんなこと
もう嫌だ
消したい
消えてなくなりたい
拭えない感情だけが残って
みじめ
とても寂しい
独りになって
はじめて気付く
自分探しの終着点はここだ
私の半身は
うまれる前から
この地球に浸かっている
この世界こそが私の半身だったのだと
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忘れることが一時か
思い出すのが一時か
人と自然と痛みと共に
生きていくこと
苦しむことが一時か
楽しむことが一時か
ある日突然の出来事が
今この時に訪れる今日
いつまで続くのか
それすら知れない人々の
自然の営みのまにまに
感じる痛み
胸に刻み
最早
白紙でない歴史
人と自然と痛みと共に
一時
一時を生きていくこと
破壊と再生
忘れることが一時か
思い出すのが一時か
苦しむことが一時か
楽しむことが一時か
やがて流れゆく
このひとときは
傷跡
軌跡となって
在るがまま
走らせる筆のように
色濃く
心に留まれば
この先も歩き続けるだろう
空一面を満たすまでは
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悶々と罪を犯す
性欲を全部
削ぎ落しても
その柔らかな乳房
愛おしく思えるだろうか
石膏像にはない魅力
適切な温もりをそのままに
相変わらずのきみを抱いた
頂きから
突き落とされる手前までは
小難しく考えるのをやめても
シャワーの音を聞きながら
ふりだしに至る
間抜け
また登るのか
空を見上げて
晴れた顔など出来はしない
どうせまた
同じ想いを繰り返すくせに
悶々ときみを裸にする
頭も性器も全部
削ぎ落とせば
ぼくという人間は残らない
身も心も燃焼し
どれだけデトックスしても
なくならない皮と肉
そこに己がいなくても
食べない
ヤラナイ
眠らない
そんな人間は
とっくに死んでいるから
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うまれつき目立たない
モブキャラちっくなあの子
担任の先生だって
覚えてられない
黒髪メガネの地味め系女子
教室の隅
休憩中も寝たふりを続ける
幽霊みたいなクラスメイト
あの子と寝るには
ワンコイン
五百円あればいいって噂
真に受けて
放課後
まだ居眠りを続けるあの子
机の上にワンコイン
あくびをひとつ
五百円を受け取った
あの子のおでこには
カーディガンの袖口の跡
はにかみもせず
無表情に席を立つ彼女は
僕の手を引き
教室の外へ
西日差し込む
廊下を抜ける
階段を降りて
保健室に入るまで
誰ともすれ違うこともなく
誰もいない室内で
リボンを外す女の子
一糸纏わぬ姿
眼鏡を掛けていなくても
存在感は希薄なままで
白いベッドに誘われる
行為も淡泊そのもので
後にも先にも残らずに
一息抜いて終えたあと
静かに後始末をする彼女
シャツのボタンを留めながら
夢を見ていた
朝になれば
目は覚めたけど
心にはわだかまりを残し
気分は晴れない
誰とも仲良くせずに
うつ伏せのまま
いつの間にか消えていた
不登校になり
卒業式にも来なかった
あの子の笑顔
今になって知りたくなって
そもそも
あの噂は本当だったのか?
思い立って企画した同窓会
やって来たのは
久しぶりの面々と
今でも付き合いのある奴ら
そこに
あの子の姿は
向かいの席に座っている彼女は
あの頃よりも垢抜けていて
大学のサークルで出会った男と
結婚したらしく
幸せそうな笑み浮かべ
楽しげに
ウーロン茶を飲んでいる
「お酒は飲まないの?」って
何気なく訊いたら
彼女ははにかみながら言う
実はね、
僕はワンコインを置いて
店を出た
彼女はもう
あの子じゃなかった
あの子は最初から
どこにもいなかったのか
どうにもならないこの気持ち
僕は叫んだ
とにかく走った
そのあとすぐに
佐藤の野郎に呼び戻され
説教とジャーマンを受けて
三次会まで幹事を続けたんだけど
橋さんは終電前に帰りました
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屍姦じゃなくて
視姦でよかった
普通じゃないから
なんだか
特別な気がした夜
妙な胸騒ぎ
危険信号
響くサイレンの音は
この胸の高鳴りが
掻き消したから
なんだか
きみに恋をした夜
積み重ねた経験が
恋する気持ちに
変化をもたらす
下心は
真心へ
ワンランク上の関係に
愛する気持ちを知ってから
きみを求めなくなった
恋をするのに
下心が必要なら
セックスレスは
真の愛か
手の届かないきみに
会いに行ったら
なんてことはなく
流れる星を掴んだら
路傍の石と変わらなかった
そんな気分
もう届かないきみに
会わなきゃよかった
普通じゃないのと
特別なのは
イコールじゃない
わかっていたのに
恋する気持ちを知ったから
きみを求めてしまった
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最適化された都市から
外れた路地裏にあるトタン
長い間風雨に晒され
錆びついたソレを
べりべりと剥がせば
見えてくる
久しく更新されていない
家族の風景よ
寝たきりの老人
世話をしながら
力なく笑う
旧式のおばあさん
最新機種の息子は今日も
家には帰らず
クラウドの支柱となって
作動し続けている
彼は現代社会の礎
と言えば
聞こえはいいが
製造者が誰かも
わかっていない
ネットワーク内で
走り回るその姿
人としての機能は
次第に失われつつあって
ネコ型ロボットが
うまれる前に
人類は絶滅し
新たな生命体が
産声をあげる動画が
世界中に拡散された
葬られる歴史
路地裏の生活感は
色褪せて
アップデート完了後には
もう
因果もへったくれもない未来
いまを生きる現代人
永久機関により
回り続ける地球の上で
次は何をする?
次は何をする?
検知されたウイルスは人間です
時間ばかり気にして
最先端をフォローする
0と1のお前の頭
蹴り飛ばしてやるから
そこにおけよ