ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーン似の部屋 > 割れない風船・後

高級スプーン似の部屋


[11] 割れない風船・後
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]



いつだっけ


気持ちが
先に生まれて
そのままを
行動に写せば
お前は姿を現わした

初めは
モヤモヤと
形も定まらず
それが何かも
分からなかったが

まだ遠かった
未来を前にして
続く日々
程よい距離で
共に過ごして

次第に
くっきりはっきりと
形も定まり
名前も決まり
いつしか俺の
半身全身に
かけがえのないものに
変わっていった

お前を見れば
自信が湧いて
お前を見れば
それは力に
希望になって
どんな時でも
前に進めた

膨らんで
大きくなって
大人になっても
同じ思いのハズだった

あの頃より
未来に近付いて
あの頃との違いに
気付いてしまって

通り過ぎて
過去になって
思い描いた未来は
何処(イズコ)へ
一度も出会えずに
時は流れ

そうなると
粗大ゴミより
タチが悪い
そんな風にしか
考えられない
自分すら嫌になる

捨てられないし
どうにもならない
風が強く吹いても
飛ばされないし
何をしても
割れないんだ

やっぱり
俺の前にいて
尻尾をゆらゆら
揺らしてる
油断して
その先に
目が行ってしまい

お前を見れば
不安になって
お前を見れば
力が抜けて
絶えた望みに
触れようとして
前に進めない

現状は
黙して語らず
お前は
宙に浮かんだまま
細長い尻尾
ゆらゆらと
楽しそう

俺は
それを無視して
再び歩き始める

あの頃とは
違っていても
今を歩く以外
他に未来もなく





TANABATA
vol.3「夢」後編

2007/07/07 (Sat)

前頁] [高級スプーン似の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -