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高級スプーン似の部屋


[28] 愛:Director's cut
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

ぼくが愛を知らないのは
人間だから
面の皮を剥いで
人前で笑えないんです

股の間から見る
逆さまにしても
崩れない風景
そんなん目指すから
時折
つまらなく感じる

噴火しない富士山すら
まともに描けない
非力な力で
自分を抑える

少し理路(みち)から
外れたところにある
砂をかぶった
小さな宝石
その鈍い輝きにこそ
愛がある

人間を維持するのは
苦しい
でも
人間以外で
生きていくのは
それよりも苦しい
死ぬよりも苦しいのか
知らないな

うまれつき人間だから
嫌でもソレを
必死に保とうとする
奥の方に無理矢理
アレを押し込めてまで

奪われてから知るもの
失ってから知るもの
人間じゃない部分に
在るもの
ちゃんとある

おYa‐まァ!
ごちャゴチゃと
着飾って
おまえは今日も
人間ですネ

削ぎ落とせ

人間が怪物だ
そう言うと変か
いや愛だ

砂をかぶった
小さな宝石
その鈍い輝き
ぼくにはどうしても
放てない輝き

放せない人の皮
しがみついて言う
I LOVE YOU
本当は
綴りしか知らない

2007/08/18 (Sat)

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