ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーン似の部屋 > ひとり歩く

高級スプーン似の部屋


[288] ひとり歩く
詩人:高級スプーン似 [投票][得票][編集]

冷たい冬の公園で

頭の小さな鳩のオスが

同じ鳩の死体を眺めてる

その様子を切り取って

まるで外国の美術館に

飾られてある絵画みたいに

僕はそれを見ている

大げさだけどね

歩きながら移動しながら

はるか遠く角を曲がって

見えなくなって

しまったあとも

帰り道

鳩も公園も闇に落ちた時も

後日

何気なくその場所を

通ったりした時もさ

僕はその光景を

鮮明なままで見ていたい

うっすらと

こぼれる記憶

歩く両足

散らしながら

第三者の立場から

いつだってそうだった

あの日の昼休み

二次会の途中と

別れたあとも

いつだって

遠くから

はるか彼方から

見ていたんだ

冷たい冬の公園の景色

鳩のオスと鳩の死体

ひとり歩きがうまくなる

僕は見ていた

僕が見ていた

冷たい冬の

2011/01/27 (Thu)

前頁] [高級スプーン似の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -