詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
外は雨
空から槍が降っている
それでも
出掛けるって言うんだ
あの人たちは
ぼくにはそんな
勇気はなくて
勇気じゃないな
無謀なだけだよな
そういう風に諦めて
外の景色ばかり
眺めていた
明日には止むだろう
明日には止まなくても
明後日にはたぶん
先伸ばしにして安全圏
だと思っている屋根の下
目が離せない
ぼくは見ていた
ビニール傘と雨ガッパ
槍にも負けぬ意思を持ち
目的を持って突き進む
あの人たちの双眸を
瞳に映る夢ばかり
追っていた
天井突き抜け滴る槍
影の向こうから
未知なる首が
雨漏りに脅かされて
ようやく気付く
眺めているだけじゃ
自分すら守れないんだと
永遠不変のものはなく
頑丈そうに見えたって
やがていつかは砕け散る
背負った殻が
跡形なく消えてしまう前に
出掛ける準備しなくっちゃ
希望は見えない闇の中
それでも待てない槍の中
雨ガッパを着て傘差して
瞳の先に光射すまで
目を逸らさずに進もうか
夢に向かって出掛けよう
さあ
彼は喰われて死にました
ぼくは見ていた
だから出掛ける
目に焼き付いた屍越えて
避けて通ってきた道を
行く
そんな夢から
はやく覚めろよ
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