詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
額に手を当てると
平熱です
病気じゃないって
病気でしょうか
体温計を挟んだって
散々頭を悩ませたって
壊れませんよ
人間ですもの
弱いからこそ
頑丈に出来ていて
強く生きようとすれば
心身共に
簡単に折れますけれど
死んじゃいますから
生きちゃいます
無表情に無感動に
自分に伝わるこの気持ち
喜怒哀楽にあとひとつ
そろそろ
加えて下さいな
お医者さんは言いました
今日に至るまで
よくある症状のひとつです
吸って吸って吸って
吸って吸って吸って
溜め込んだもの
一気に吐き出そうとして
死んじゃいそうになる
でもまだ
生きちゃってます
自分しか知らない自分
額に手を当てて
どれだけ熱があるかより
額に手を当てる行為
生きていること
そのものがもう
あれ
今
なんて
言おうとしたんでしたっけ
病名を告げる前に
お医者さんは消えました
パンパンパパンパ
手を叩いても
変わりませんね
何も
病名はなくても
病気じゃなくても
変わりませんね
何もかも
生きちゃってます
ケチャップ
クラップ
続きはなくとも
今を生きずに
今は死なずに
生きちゃいます
お薬代は空気も込みで
対価は人生
払えるもんなら
払ってみそ汁
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