ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーン似の部屋 > 離してくれよ

高級スプーン似の部屋


[424] 離してくれよ
詩人:高級スプーン似 [投票][編集]

仲間以外は
赤の他人なんでしょう
友達の居ない人は
虐げられるんでしょう

干渉せずには
生きていけない
世の中だから
絶望の淵
伸ばしてきた手を
拒む権利は無いんだね

このまま
死なせてくれたら
楽になれるのに
いくらか金を
掴ませて
そっと手を離す
機会を伺っているけれど

足りない
まだ足りないと
搾取され
骨と皮と
心臓だけになっても
生きている
まだ生きている
お前らに生かされている

希望の光に
身を焦がし
どの道もう
ひとりでは
生きていけない気がした
苦しむだけの未来を
前だけを向いて
どこまでも行ける
幸運を呪っても
血も涙も出ない

手を離せよ
痩せ細る声を大にして
弱々しく猛るけど
お前らは
微笑ましげに
見ているばかり

明るい光に照らされた
平和な世界に安住
手と手を取り合って
幸せに生きることは
素晴らしい なんて
誰もが
安らげると思うなよ

滑り落ちれば
バッドエンド
けれども
お前らは手を離さない

心臓に鞭を打ち
嗚咽する無様な姿
その様を
目を細めて
見ているばかり

2012/07/29 (Sun)

前頁] [高級スプーン似の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -