詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
投票箱の
ふたを開けると
用紙に紛れて
誰かの手が入っていた
その手を手に取って
小首を傾げる
何者かの
手首から先のそれは一体
どうして
箱の中にあったのか
もしかしたら
投票する際に
用紙でさくっと
やっちゃって
切り落として
しまったのかもしれないな
紙って結構
鋭利なんだもの
油断してると
指先とかも痛っ
ってなるものね
それにしても手
この手
誰の手
気になる手
落とし主は誰だろう
利き手かどうかは
知らないが
普段使っているものが
突然なくなったら
不便だよね
片方だけなら
どうにかなるかな
両方なくたって
頭を使えば
足を使えば手になると
気付くものだろうけど
けれども
この手
この手で
投票してくれたのなら
持ち主にとって
どうかは知らないけれど
わたしたちにとっては
大切なものですからね
そう
大切なのは
投票すること
その行為自体じゃなくて
あなたが
この手を使って
投票してくれたこと
そうだよね
わたしはそう思うから
手に手を伸ばし
わたしの手で
あなたの手を掴んで
離さない
じゃなかった
この手に込められた
あなたの想いごと全部
抱きしめるように
握手する
投票してくれて
ありがとう
わたしの手
握り返すかどうかは
あなた次第
けれども
肝心の
あなたはここに居ない
だからね
探したいんだ
投票を終え
どこかに消えた
この手の持ち主を
kikaku2012手
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