詩人:高級スプーン似 | [投票][得票][編集] |
サイレントのまま
闇夜を走る
選挙カーが怖かった
本性を垣間見たような
そんな気がして
ゴミを漁る猫に
同意を求めて
視線を送るも
足を止めて
こっちを見るばかり
「…………」
うまく聞き取れないな
性善説は
最善策でしかないよ
でもこれが
後から付いた
汚れなら
元々汚れていた
訳じゃないなら
その汚れさえも
愛せるかな
自信ないな
問題は
その汚れ自体が
俺なら
本体の本人の主人格は
とっくの昔にもう
隠れてしまってさあ
汚れに
乗っ取られるなんて
お前は何がしたいんだ
俺は何がしたいんだ
根拠なき空虚の
傘下に入り
「今日もダメだ」と
産声を上げる
その誕生を祝う者はなく
TVも地球も知らんぷり
流れていく
流されていく
延命するだけの人生
それでも
いいんじゃないかって
いやむしろ
良いんじゃないかって
思い込んだ矢先
懸命に駆ける
“現実”を
目の当たりにして
ぶるぶるぶるぶる
震えてる
あふれる熱い涙
あぶれる安い涙
流れていく
流されていく
汚れ
落ちる汚れ
落ちこぼれ
略して俺
その汚れ自体が
俺なら
本体の本人の主人格は
綺麗さっぱりもう
落とした汚れの事なんて
忘れちゃっててさあ
それならなんで
汚れなんて
枕にして眠ったんだ
どうしたらいい
知らない
どうにかなる
ならない
どうでもいい
よくない
どうかな?
ないない
なよなよなよなよ
なよなよなよなよ
するなよ
少し黙れよ
黙っていたら
分からないから
意志の疎通が
上手くないから
それならせめて
黙ったままでいいから
あの日の猫のように
見てくれないか
見ません
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