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零不の部屋


[3] 海原に一匹の猫
詩人:零不 [投票][編集]

月夜の丘に佇む漆黒の猫。
「寒くないのかい?」
と聞いたら
「月が暖かいからね」
とひげを風になびかせて呟いた。
瞳の行く先は遠い望郷。
風が凪ぐ。ひげが凪ぐ。
ぼんやりとした月は猫の背中を撫でるように照らす。

だから毛布をかけてあげました。
それでも猫は身じろぎ一つせず。
海の向こうを見つめていました。

駆られるのはあの地への思いでしょうか。
幾多の災難にあっても焦がれる思いでしょうか。
僕は羨ましく思いました。

月は遥か遠くから。

猫は海を渡れるのでしょうか。

2009/01/25 (Sun)

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