神を知らない貴方を、一体誰が信じてくれると言うの。鬼の首をとったような僕に、彼女は明らかに戸惑ったようだった。ウーンと唸って腕を組み、瞑目したっぷり百秒も考え込むと、貴方が私を信じてくれるさ。そう答えた。眼を閉じたまま、薄笑いを浮かべて。彼女はやがてうっすらと目を見開くと、衝撃を受けて立ち尽くす僕を見つけ、ただシニカルにへへ、と笑った。
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