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浮浪霊の部屋


[26] 恐怖の本源
詩人:浮浪霊 [投票][編集]


私は懐かしい

血の香りや 獣の臭い、牙の閃きが 
死を招く、傷や病の 形や 徴が

餓えて死ぬ私を見詰める母の冷たい眼や
私を殴り殺すため振り上げられる父の拳を見上げる絶望が

闇に潜む爪に引き裂かれ

焼け付く焔に嘗め尽され

暴漢に組敷れ刺し殺されることが

思い出す
私は、思い出す
私の懐かしい思い出たちを思い出す

記憶より古い 史書よりも古い
肉に刻まれ 血に混じり 脳裏に記され 骨の髄まで染込んだ
震えを参照し 震えを引用した この恐怖

伝子のおののき
恐怖の本源
億兆という死の記録

2010/03/18 (Thu)

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