旻天に ひらり翔(かけ)らう紅シジミ野駆けの誘いと辺りで戯(そば)え彼方に渡る鶸色の海吹き頻(し)く風に胡盧(ころ)を浚われ風来坊の桐の一葉(ひとは)がカサリコソリと撫ぜ行く つま先黄金(こがね)の光が引く影に強張るこの身を弛ませて漫(すず)ろに描く明日の明日暢楽夢譚の栞がわりに胸に挟かう早生(わせ)の秋
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